FABtotumは工作マニアの夢―3Dプリンター、スキャナー、カッター、フライス盤などがひとつのボックスに

FABtotumは多様な工作機能がオールインワンになった3Dプリンターだ。カッター、フライス盤、彫刻機、さらに既存のオブジェクトをクローンするための3Dスキャナーなどプロトタイプを作るのに必要な工作機能がすべて含まれている。

ただし、今すぐに現物を手に入れることはできない。このプロジェクトを推進しているイタリーのスタートアップは現在、Indiegogoで5万ドルの資金を調達している最中だ。このチームはクラウド資金調達とは別に本格的な投資家も探している。創立は2011年でこれまでは個人的に調達した資金で運営されてきたという。Indiegogoの資金調達はゴール目前だ。

FABtotumの共同創業者、Marco Rizzutoはこう説明する。

これまでの3Dはデジタル・ファイルから実物を出力するという単一機能のマシンだった。これは柔軟性に欠けるし、プロフェッショナルな目的での利用ではたとえプロトタイピングにせよ、すべてがポリマー素材ですむわけではない。われわれは独自のテクノロジーによる4軸スキャナーでオブジェクトをスキャンするところからデジタル情報と実物をシームレスに融合させてすべての作業がこの一台で完結するようなシステムを目指した。

ユーザーは興味をもったオブジェクトをスキャンしてデータを友だちに送り、友だちはそのまま3D出力してもよいし、3Dデザイン・ソフトで修正、加工してもよい。ユーザーはFABtotumの切削系機能を利用して、スタイロフォームやPCB素材を成形することができる。つまりデザイナーやエンジニア、ホビーイストがプロトタイピングの際に通常行っているような作業がすべてFactotumでできる。

こうした多機能マシンは使い方が複雑になることが避けられないので、一般ユーザーが使いこなせるようになるのは先のことになるだろう。しかし安価にすばやくプロトタイプを作ろうとする熱心な日曜工作家やスモールビジネスからは熱烈に歓迎されそうだ。歓迎の度合いは、FABtotumのIndiegogoキャンペーンが締め切りまであと1月を残して60人の出資者から3万8000ドルを集めていることでも分かる。

Rizzutoによれば、FABtotumの直接のライバルはMicrofactoryのハイブリッド・マシンやAio Roboticsの3D-ファックス/プリンター、Zeus(Kickstarterで来月から資金調達を開始する予定)などだという。しかしFABtotumは価格やカスタマイズ性でライバルより優れているとRizzutoは言う。

FABtotumはレーザースキャン(高速用)、Zプローブによるスキャン(高精細度)の両方を備えている。3Dプリントの精度はZ軸で0.47マイクロメートル。最大出力寸法は210x240x240mmだ。

699ドルの出資で既存の3DプリンターをFABtotum式万能マシンに改造するキットが入手できる。999ドル出資すれば3Dプリンターを含めたフルキット(組立はユーザー)が得られる。早期出資者は849ドルで組み立て済みのFABtotumを入手できたが、この枠はすでに売り切れだ。組み立て済みのFABtotumは1099ドルになる。

〔日本版:FABtotumはfactotum(ファクトータム=雑用係、、何でも屋)の語呂合わせ〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


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TechCrunch Japan

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