Facebook、「有意義な時間」重視で、利用時間が「1ユーザー1日当たり2分」減少

Facebookは短期的利益にこだわっていないことを、口先だけではなく行動で示している。ユーザーの幸福度向上のためにバイラルなビデオの存在を減らしている。今日(米国時間1/31)Facebookの2017年Q4決算報告で、CEOの Mark Zuckerbergは、「すでに前四半期からバイラルビデオの露出を減らし人々の時間が有意義に使われるようにシステムを変更してきた。その結果Facebookに費やされた時間は、全体で1日あたり5000万時間減少した。

現在Facebookのユーザー数が14億人だとすれば、1日1人あたり約2.14分の減少だ。後にZuckerbergは、Facebook全体の消費時間が5%減少したと語った。

バイラルビデオを減らした結果、米国・カナダ地域では1日のアクティブユーザー数(DAU)が70万人減った。これは2004年のスタート以来成長を続けてきたFacebookにとって前例のない下落だ。Facebook CFOのDavid Wehnerは、これは一時的な現象でありトレンドではないと考えていると語った。それは、Facebookが今後何回こうした変更を行うかによるかもしれない。

Facebookは、仮に米国・カナダのデイリーユーザーを70万人減らさなかったとしても、四半期毎のDAU成長は2.24%となって過去最低だった。2.18%という数字は2016年Q4と2017年Q4の3%成長よりもかなり低い。

それでも、米国・カナダのDAUの減少がバイラルビデオと幸福度のための変更の結果だとFacebookが説明したあと、時間外取引きの株価は4%安から4%高へと急上昇した。投資家は、Facebookがこの変更でユーザー数を大きく減らすことはなく、全体的な成長傾向は続くと信じているのかもしれない。

Facebookは前四半期の決算会見でZuckerbergが話した「私たちのコミュニティーを守ることは利益を最大化するよりも重要」という約束を果たそうとしている。Facebookは、今月発表したビデオやニュースなどの受動的閲覧を減らし、親しい友人との積極的対話を推進するニュースフィードの大改訂を、着実に遂行している。

今日Zuckerbergは、人々に最も意味のあるコンテンツを見せることから、最も意味のある交流を促すコンテンツを見せることへと、社員への指示を変更したことを説明した。これは地味だが重要な変更であり、ユーザーが有益で楽しいと感じるコンテンツであっても、シェアしたりそれについて話したくなるほど特別でないものは露出が減るかもしれないという意味だ。Zuckerbergによると、今後は、「オンラインオフラインを問わず、人々が有意義だとわれわれに報告した交流の数」で会社を自己評価すると語った。

Facebookが、利益よりもユーザーの幸福を優先する意向を推進していることは、大企業としては異例だ。これを思いやりのある行動と見る向きもある。一方ではこれを、大がかりな「Facebookを捨てろ」運動が起きて今日発表された消費時間減少どころではない打撃を受けることを防ぐための、長期的戦略にすぎないと考える人たちもいる。

しかし今のところ投資家たちは、この会社がより意味のある、受動的ではないニュースフィードを機能させられると信じている。消費時間が短くなれば広告のインプレッションは減るが、誰もが見るような深い交流は入札競争を呼び広告費が高くなる可能性がある。Zuckerbergはこれについて、もし意味のないコンテンツに慣れてしまうと、ニュースフィードの中身をスキップすることが益々習慣になり、それが広告にも波及しかねない、と説明した。

つまりFacebookは、ユーザーの無意識なスクロール中毒への依存をやめても、変わらず収益を上げられるのかもしれない。

Facebookの〈有意義に過ごす時間〉への取組みの詳細については、本誌の特集記事、“The difference between good and bad Facebooking.”を参照されたい。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。