Facebook、偽ニュース対策をドイツでも導入予定

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Facebookが現在アメリカでテスト中の偽ニュース対策をドイツでも導入しようとしている。昨日公開されたブログポストの中で同社は、「数週間のうちに」ドイツでプラットフォームのアップデートを行うと発表した。

また、先月News FeedのヴァイスプレジデントであるAdam Mosseriは、偽ニュースの拡散を防止する方法についての詳細を説明していた。

これには、アメリカ大統領選中にNews Feedを通じて嘘の情報が広まっていたにも関わらず、Facebookは十分な対策をとらなかったとして、たくさんのコメンテーターから非難を受けていたという背景がある。アメリカの成人の過半数がニュースをソーシャルメディア上で読んでいると示唆するPew Research Centerの2016年の調査を考慮すると、この問題の影響力がわかる。

ようやくMark Zuckerbergも、Facebookには「ただ情報を流すためだけのテクノロジーを開発している企業よりも大きな責任」があると認め、Facebookをメディア企業ではなくテック企業だとする以前の発言を撤回した。

「ユーザーが読み、シェアしているニュース記事を私たちは実際に書いてはいませんが、同時にニュースを広めるだけの存在でもないということを認識しています。つまりFacebookは情報公開のための新しいプラットフォームであり、ユーザーが有意義な会話を交わし、有益な情報を得られる場を提供するにあたって、これまでの企業とは違う責任を負っているのです」と彼は12月15日のステータスアップデート内で述べた

現在アメリカではテスト中で、間もなくドイツに導入予定の偽ニュース対策は、以下の3点にフォーカスしている。

  • ユーザーが偽ニュースを通報しやすいようにする(現状の対策だと、ユーザーは右上の角をクリックすることで怪しいポストを通報できる)
  • 疑いのあるコンテンツに”truth warnings(信頼性に問題あり)”という印をつけ、情報が拡散しにくいようにコンテンツの表示順位を下げる。偽ニュースの特定にあたり、FacebookはPoynterの国際ファクトチェッキング綱領(International Face Checking Code of Principles)に署名した外部のファクトチェッカーと協力している。
  • 「有名ニュースサイトの真似をできないようするとともに、現在のポリシーをもっと積極的に施行することで」広告収入目的で偽ニュースをつくっているスパム業者のインセンティブを減少させる(昨年11月にFacebookとGoogleは、偽ニュースからの広告収入を断ち切るため、両社の広告ネットワークを偽ニュースサイトが使えないようにした)。

なぜアメリカの次にドイツで偽ニュース対策が導入されるのかついては、今年ドイツで行われる総選挙が関係している可能性が高い。

ロシアのトロールが、リアルタイムでメルケル陣営に攻撃を仕掛けてくる様子を見るのはなかなか興味深い。ほとんどが新しい矛先をみつけた親トランプ派のアカウントのようだが。

また最近ドイツ政府は、ヘイトスピーチの拡散という別の問題への対応についても、Facebookを非難していた。

そしてFacebookがドイツで協業するファクトチェッカーとして選んだのが、Correctivだ。同社は(まだ)Poynterの綱領には署名していないように見える一方、FacebookはCorrectiveが「ガイドラインへの署名を進めているところだ」と話していた。

TechCrunchが直接Correctivに確認をとったところ、広報担当者は同社が今まさに署名プロセスの真っ只中にあるものの、「技術的な理由(Poynterは現在ウェブサイトを作り変えている)からプロセスの完了までに時間がかかる」と回答した。さらに、コンテンツが偽ニュースかそうでないかを判断する方法について尋ねると、彼は「私たちはまだこのプロジェクトの初期段階にいるため、具体的な方法についてはまだ分かっていません。しかしすぐに答えがでるのは間違いありません」と語った。またCorrectivがどの国内メディアを信頼しているのかという問いに対して彼は、Spiegel、Süddeztsche Zeitung、FAZの3つを例として挙げていた。

Correctivによって偽ニュースだと判断されたポストには警告ラベルが貼り付けられ、それが偽ニュースの疑いがあるコンテンツだということをユーザーがわかるようにするとFacebookは話す。しかし偽ニュースの可能性がある元記事へのリンクは、警告ラベルが貼られたポスト内に残ってしまう。

さらにFacebookは、偽ニュースの疑いがある情報はNews Feed上での表示順位が下がることになると話す。ユーザーは警告ラベル付きのポストを引き続きシェアすることができる一方で、元記事を”信頼性に問題あり”という印無しでシェアすることはできなくなる。

「ドイツでのテスト結果を通して、今後ツールの改良と拡大を進めていきます」(英語原文はドイツ語の文章をGoogle翻訳で訳したもの)とFacebookはドイツでの偽ニュース対策導入に関するブログポストの中で述べた。

「私たちにとって、Facebook上のポストやニュースが信頼できる情報かどうかというのは重要な点です。偽ニュース対策の導入は喜ばしいニュースである一方、まだまだやるべきことはたくさんあります。今後も問題解決に努め、近日中に他国でも対策を導入していく予定です」ともブログには記載されている。

News Feed上のコンテンツの取り締まりにあたり、Facebookが外部の(具体的にはPoynterの綱領に署名済みの)ファクトチェッカーの専門性に大きく依存した対策を発表した後、Poynterは加盟を希望している企業に対する審査プロセスの見直しをはじめた。Poynterのウェブサイトには、見直し後の手続きが整うまで、新規の加盟は受け付けないと記載されている。

Poynterは「アメリカのファクトチェッカーの中間監査は実施済みで、全ての加盟企業に対してレポートを数週間のうちに提出するよう要請する予定です。Facebookのプログラムのテストは既にはじまっていますが、加盟を希望する企業は私たちにオンラインフォーム経由でその旨を伝えることはできます。しかし最終的な審査システムが出来上がるまで、実際の審査は行いません」とし、Q&A形式の記事でFacebookのテストにおける彼らの役割について説明している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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