Facebook、初のグラフ検索広告をテスト中。ただしターゲティングに検索ワードは使用せず

投資家たちは、いずれFacebookが利益性の高い要求充足型検索広告を販売することを期待しているが、出だしは慎重そのものだ。今日(米国時間4/16)Facebookは、初のグラフ検索広告の小規模なテストを始めたが、ターゲティングに使うのはユーザーの検索クエリではない。代わりにFacebookは、通常のターゲティングと再ターゲティングの方式を利用する。サイドバー広告と同じようにページの末尾に表示され、それも検索結果が1ページを超える場合のみだ。

Mark Zuckerbergは、人や場所や興味を見つけるこの新しい検索エンジンの発表イベントの際、収益化に関する私の質問に対して、グラフ検索に広告が入る可能性を示唆した。彼は「人々が欲しがるものを作ることによって良いビジネスを作れる」と言ったが、Facebookの従来のタイプアヘッド広告が「その方向にうまく拡張できている」ことも指摘した。Zuckerbergは、Facebookではユーザー体験が第一であることを強調したが、検索広告が「時間の経過と共にビジネスになる可能性」も認めた。

しかし、検索タイプアヘッド広告が、Facebookのリアルタイム検索のドロップダウンメニューで広告主をライバルや他の関連企業より上位に表示させるのに対し、初のグラフ検索広告は単なる新たな表示枠にすぎない。現時点ではFacebook全ユーザーのごく一部であるグラフ検索ユーザーのそのまた少数のグループにのみ表示されている。テスト対象のユーザーがグラフ検索を行い結果が1ページを超えると、2ページ目が自動読み込みされる前の境界行に広告が2~3件表示される。これらの広告はFacebookのサイドバー枠と同じく、見出しとサムネイル画像と本文からなり、Facebook内外の目的地へのリンクを含む。

現在のグラフ検索広告は他の殆どのFacebook広告と同じターゲティング技法を用いている。年齢、性別、現住所、勤務先など統計データや、いいね!、オープングラフでの行動、さらには最近ユーザーが訪れたウェブサイトのクッキーに基づく再ターゲティング等だ。

もしテスト結果が良好で広告がクリックやブランド確立に有効となれば、全グラフ検索ユーザーに展開する可能性が高い。

果たしてFacebookが、検索ワードに基づくターゲティングを広告主に許すかどうかは未だに不明だ。もしFacebookの他のターゲティング技術と組み合わせられれば、企業はグラフ検索を使って、レストラン、小売店、専門サービス等を探している瞬間のユーザーにアピールすることが可能になる。現在グラフ検索広告は、統計情報と興味、閲覧履歴によるターゲティングしか使用できないが、いずれはユーザーが「近所の歯医者」を検索した時に歯科医の広告を見るようになるかもしれない。

購入プロセスの最終部分は、最初の需要生成部分よりもずっと価値が高い。広告が購入や投資利益率に直接結びつくからだ。つまりFacebookは高い料金を請求することができ、Googleその他の検索広告のために予約されている膨大な広告予算を獲得できることを意味する。これは既存の収益ストリームの改善などではなく、新しい広告カテゴリーとして投資家を大いに喜ばせるものであり、ついには$FB(今日の終値は26.92ドル)をIPO価格の38ドル以上へと引き上げられるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


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TechCrunch Japan

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