Facebook、Google、Twitterの広告責任者がクリックの価値について激論

今日(米国時間4/30)TechCrunch Disrupt NYで、Googleのディスプレイ広告担当副社長、Neal Mohan、Facebookの広告担当ディレクター、Gokul Rajaram、およびTwitterの製品収益担当シニアディレクター、Kevin Weilの3人が、デジタル広告の現状について壇上で議論した。

広告主に対してマルチ画面、クロスプラットフォーム広告を提供すること、「閉じ込もって考えるのをやめる」ことの重要性については各社同じ見解だった。しかし、キャンペーンの成功度を測る方法に関して意見が分かれた。GoogleのMohanは、効価の測定はデジタルブランド広告に立ちはだかる最大の障碍であるが、Googleにも他社にとっても解決すべき最重要課題であると言った。

なぜか? Mohanによると「デジタル広告キャンペーンの1/3は、近いうちにクリック以外の指標で測られるようになる」という。しかし、それが正しいとしても、現時点ではそのクリックがGoogleの広告ビジネスの中核であることは注目すべきだ。

3社の認識で共通していたのは、各プラットフォームのブランド広告主が最も懸念しているのは、広告キャンペーンのリーチ、頻度、および結果であり、測定方法はあまり気にしていないという事実だ。

Rajaramによると、FacebookはNielsenおよびDataLogixと協同で、広告のリーチ先を解明し、誰が広告を見ているかに基づき、スケーラブルでリアルタイムにインプレッションを購入する方法を検討している。デジタルが約束するのは、広告をよりいっそう「リアルタイム」にかつ「高精度」にすることだと彼は言った。

次にWeilは、Twitterがはエンゲージメントにより集中していると言った。なぜならバナー広告のスクリーンショットを取って友達に送る人はいないからだ。言い換えれば、従来型のディスプレイ広告は不十分であり、視聴者のブランドに対するエンゲージメントを測定する効果的な方法を提供していない。

これに対してRajaramは、業界はエンゲージメントとクリックに焦点を絞ることによって、ブランドに害を与えている、なぜなら「クリックと現実のコンバージョンには実際相関はない」からだと反論した。事実、業界がむしろ焦点を絞るべきなのは、人々に広告がどう露出しているか、その露出の効果、およびそれと実際にオフラインで起きること ― 即ち確認可能なオフライン購入 ― との相関だ。

Mohanはこの点についてRajaramとは意見が異なり、エンゲージメントは将来のコンバージョンを占う因子となり得る、Googleはブランドが適切な視聴者を探し取り込む最良の方法を見つけるのを助けることに集中していると言った。

対してRajaramは、業界のリーダーはラストクリックを最終的な販売やコンバージョンと結び付けることに集中すべきではないと言った。そうではなく、他の影響力や追加のチャンネルに対する露出にもっと価値がある、Facebookはコンバージョンの「より公正な評価方法」を追求するために先月Atlasを買収したとRajaramは言った。

FacebookはDatalogixの協力を得て、オンライン広告とオフライン購入との相関を調べるために相当の調査を行ってきている。半年前、Facebookの広告測定責任者、Brad Smallwoodは、実際に売上を駆動しているのはクリックではなく広告インプレッションであると言った。DataLogixのキャンペーンでは、販売の99%が、広告を見たがクリックしなかった人々によるものだったとBradが指摘したことを当時本誌は報じている。

最後にRajaramは、「最近の10年間でモデルは崩壊した。われわれはもっと洗練された、複数接点の広告モデルに移行し、接点毎に価値を生みだす方法を見つける必要がある」と語った。

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(翻訳:Nob Takahashi)


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TechCrunch Japan

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