Facebookが「名前で検索されない」 オプションを廃止―プライバシー・コントロールの問題点を露呈

「私の名前を検索できる人?」というプライバシー設定をFacebookは正式に廃止した。この設定を利用しているユーザーにはその旨の通知が届くはずだ。この設定を利用していないユーザーに対してはすでに昨年12月に廃止されている。その代わりに「私のコンテンツを見ることができる人」などのプライバシー設定ができるようになった。しかしワンクリックでFacebook検索で名前を検索されないようにするオプションはもはや存在しない。

Facebookにグラフ検索が導入されてから人々のプロフィールを探し出すことが劇的に簡単になった。名前はもちろん住所や趣味など個人の情報の切れ端(すぐに投稿内容も加わるはず)が検索のキーとなる。自分の住所をサンフランシスコだと公開しているユーザーはサンフランシスコでグラフ検索されると浮かび上がってくる。

「私の名前を検索できる人」の設定は実のところ抜け穴がいくつもあって、さほど強固なセキュリティーを提供するものではなかった。その点、Facebookが設定自体を削除したのはユーザーに「偽りの安心感」を与えないという意味では適切だったかもしれない。しかしそれならFacebookはその代わりにもっと強固なセキュリティー設定を提供すべきだった。現状ではセキュリティーは弱まっている。

「私の名前が検索できる人」の設定が廃止された後、ユーザーができることはプロフィール中の個々の要素を手動で非表示にすることだ。これは相当に面倒な作業だ。基本データのページを開いて、多数の要素についてそれぞれ友達、知り合い以外の友達、自分のみなどのオプションを選択しなければならない。

プライバシーを気にするユーザーに念のためことわっておくが、現在アクティブになっているプロフィール画像とカバー画像は常に公開されている。つまり名前以外の情報を一切公開したくないのであれば要素の公開範囲を制限すると同時にプロフィール画像、カバー画像も空白にしておくべきだ。

「私の名前を検索できる人?」の廃止によってストーカーにつきまとわれている人々にとってFacebookの安全性は減少した。なるほどブロック機能を使えば特定のユーザーからのアクセスを禁じることはできる。しかしストーカーが偽名で新しいアカウントを作れば簡単にそのバリヤーを突破できるわけだ。

ここでFacebookの「世界をより結び付けられた場所にする」という使命、金を儲けなければならないという株主に対する責任とユーザーのプライバシーと安全を守るという義務が衝突する。

Facebookは個人情報を一切非公開にするオプションを設定できるはずなのにそうしなかった。名前にかぎらず、あらゆる検索からオプトアウトできるオプションも提供してない。Facebookは友だちがユーザーを検索で発見できなければならない、そしてグラフ検索はなんでも検索できるツールでなければならないと考えている。Facebookはユーザーのニュースフィードへの投稿が広告表示を最大限にすることを望んでいる。そしてそれと引き換えにユーザーの「検索されない権利」が犠牲になっているといわねばならない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


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TechCrunch Japan

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