FacebookがオープンソースのVRカメラ「Surround 360」を発表

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どうやったらFacebookはニュースフィードに360度動画やOculus用のVRコンテンツを増やすことができるだろうか。その答えは、Facebookが自ら仮想現実カメラをゼロから作ってオープンソース化し、ユーザーがそれを組み立てて撮影できるようにすることだ。

本日のF8でFacebookは「Surround 360(サラウンド360)」という名の17個のレンズが付いた3D VRカメラを発表した。これは棒の先端にUFOがくっついたような形をしていて、他のVR撮影と違ってポストプロダクションの手間もほとんどかからないという。Facebookにこの「Surround 360」を販売する考えはなく、その代わりに夏の終わり頃、ハードウェアのデザインと動画編集アルゴリズムをGithubに公開する予定だ。パーツは全てオンラインから3万ドルで購入できる。

Facebook Surround 360 17 lenses

「カメラ事業に進出するつもりはありませんが、これまで推奨できるカメラがなかったのです」とFacebookのChief Product Officerを務めるChris Coxは報道陣に月曜日の発表で伝えた。Surround 360カメラの4つの特長は以下の通りだ。

  • 非常に高品質での撮影: 17個の4メガピクセルのレンズは4K、6K、さらには8K動画を撮影でき、毎秒30ギガビットをUSB経由でハードドライブに保存する。上に1つ、下に2つ付けられた魚眼レンズで、撮影者の足元まで撮影し、動画の中に盲点はなくなる。カメラを支えるポールも動画から消える。
  • 耐久性: カメラのアルミケースは簡単に組み立てたり、解体したりすることができる。砂漠などの厳しい環境にも耐え、オーバーヒートせずに何時間も続けて撮影することができる。
  • ポータビリティー:頻繁に飛行機で移動するのにも便利な設計。下のベースには車輪があり、簡単に動かすことができる。
  • ポストプロダクションはほぼ不要:全てのレンズをつなぎ合わせるのにゲンロックを使用することで、ソフトウェア側の手間が省ける。撮影動画は撮影から配信できるまで通常なら数週間かかるのが1日という短期間で可能になる。
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つまり、このカメラはVRの撮影工程をシンプルにし、撮影動画の仕上げりも美しい。私はこのカメラで撮影した動画を2シーンほど、Gear VRのヘッドセットで見ることができた。1つはサンフランシスコの美しいPalace Of The Fine Artsの水辺でくつろぐ人々の様子を映し、もう1つはイギリスにあるFacebookの研究所で太陽光で動くAquilaドローンを制作している様子を映した。

Facebook Surround 360 stand

ポストプロダクションをしていないにも関わらず、動画は驚くほど鮮明で画像のつなぎ目は分からなかった。どんなに私が頭を素早く動かしても、景色は美しいままだった。以前見た、1億ドルを調達したスタートアップJauntが制作したカメラの動画より、Surround 360の動画の方が鮮明に見えた。

1つ気になったのは、金属の板など反射しやすい面はやや不安定で揺れているように見えたことだ。ただFacebookは、このような「時間折り返し雑音」は必要であればポストプロダクションで修正することができるという。

大手カメラ会社がこのカメラデザインを製造して販売しようが、動画撮影者が自分で制作してアレンジしようが、開発者がFacebookの動画編集ソフトウェアを使おうが、Facebookは構わない(自社のVRカメラを販売しようと計画しているJauntとGoogle/Go Pro連合は気にするだろうけどね)。Facebookの目標は360度動画とVRコンテンツ制作を普及させ、ユーザーが時間を使いたいと思うようなコンテンツを増やすことで広告で埋まったソーシャル・ネットワークとヘッドセットの販売につなげたい考えだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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