Facebookがソーシャルグラフを一新し「新しい友だち」重視へ

FacebookはF8デベロッパー・カンファレンスで「新しい友だちを見つけよう」(Meet New Friends)というポリシーを発表した。この機能にオプトインすると、同様にオプトインしているユーザーとの交流に重点が置かれる。つまり同窓生、同僚、居住地、趣味などユーザーが参加ないし興味を抱いているグループやコミュニティーのメンバーと簡単に友だちになることができる。「新しい友だちを見つけよう」は現在ベータテスト中だが、近く広い範囲で利用可能になるはずだ。

Facebookのソーシャルグラフは時間が経つにつれて新鮮さを失う。もう付き合っていない知人、何年も会っていない郷里の同級生や親類など見る必要を感じない投稿でニュースフィードが占領されるようになりがちだ。 そこでFacebookは「現実の友だちをオンラインで結びつける」というこれまでの本質から大胆な転換を図ろうとしている。これまでのFacebookのアイデンティティーは消えかけたソーシャルな関係に新たな生気を吹き込むことによってユーザーのエンゲージメントを確保しようとするものだった。

「新しい友だちを見つけよう」 はニュースフィードでフォローするのに適した新しい相手を発見するのに役立つ。ユーザーはやがて登録したコミュニティーのメンバーとの交流を主とするようになる。テスト中のデートサービスと同様「あたらしい友だちを見つけよう」が十分魅力あるレイヤーにになればFacebookは収益化の方法を見つけることができるかもしれない。

Facebookのメイン・アプリのプロダクト責任者のFidji Simo氏は私の取材に答えて「新しい知り合いとの交流行動は既存の友だちとの交流と全く異なる様相を見せるという発見」に基づくもの」だと述べた。彼女によれば「この傾向はグループ機能ですでに観察されていましたが『新しい友だち』レイヤーはこれをさらに発展させ利用を容易にしたものです」ということだ。

ユーザーは「新しい友だち」から友だちを探したいコミュニティーを選ぶことができる。現在選択できるコミュニティーは、「同窓生」「同僚」「地域」だが、将来はこれに「グループ」が加えられる。仕組みはデートサービスのFacebook Datingにやや似ているかもしれない。既報のようDatingはSecret Crush機能と14カ国を加えてさらに一般公開に近づいている。

従来の「友だちリクエスト」とは異なり、興味ある相手も「新しい友だちを見つけよう」に参加している場合、専用ボックスにテキスト・メッセージを送ることができる。相手がそのメッセージに返信してくるまではさらにメッセージを送ることはできない。これらはスパムに利用されることを防止するためだ。また送信できるのがテキストのみというのは不適切な画像が送りつけられるのを防ぐ。相手が返信した後、会話は通常のFacebookメッセンジャーに移動する。【略】

「知り合いかも?」(People You May Know)は一見したところうさん臭い機能だが、これまでFacebookの成長を支えてきた戦略を象徴している。 簡単にいえば、現実世界のソーシャルグラフをそのままオンラインに置き換えようとするものだ。しかしFacebookが成熟し、人々の生活の重要な柱となった現在、「新しい友だち」機能によりオンライン独自の交流を促進する必要が生じている。これはソーシャルメディアの巨人のあり方を大きく変える可能性がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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