Facebookが密かにスクリーン共有機能付きのデスクトップチャットアプリをローンチ

TechCrunchは、Facebookがスクリーン共有機能をもつ公式デスクトップチャットアプリ(PCとMac向け)を密かに立ち上げていたことを発見した。これまで多くのユーザーたちが待ち望んでいたものだ。現段階では、この機能はWorkplaceの中でのみ利用可能だ。WorkplaceとはSlackやその他のビジネスアプリと競合している、Facebookのエンタープライズコラボレーションソフトウェアである(いつか一般向けMessengerアプリのデスクトップ版が登場し、スクリーン共有を行えるようになったなら、喜ぶ人は沢山いることだろう)。

現在Workplace1万4000社以上の企業が利用しており、ユーザー1人あたり1ドルから3ドルを支払っている。最近ではWal-Martがサインアップした。このスクリーン共有機能は、SkypeやWebExといった、使い難い企業向けスクリーン共有アプリに比べて、より多くの顧客を引きつけそのシェアを奪うことができるだろう。競合他社がパズルのピースを提供しているだけなのに対して、Facebookはスピード感のある開発スタイルを使って、オールインワンのコラボレーションアプリでオフィスを制圧しようとしていることは明らかだ。

Facebookがデスクトップソフトウェアに再参戦

TechCrunchは、Workplaceのヘルプセクションに埋もれる形で、PCならびにMac向けのWorkplace Chatデスクトップアプリへのリンクがあることに気が付いた。このアプリを使えば紛れやすいブラウザのタブを使うこと無く、簡単に他の従業員たちと終日メッセージを交換することができる。

FacebookのWorkplace広報担当者Vanessa Chanは、TechCrunchの問い合わせに対してデスクトップアプリの提供開始を認め、次のように語った。「これは顧客の皆さまから最も広く求められていた機能の1つでした。それが開発の理由です。デスクトップアプリケーションはまだベータ版でして、より広範なリリースに先立ち、製品を改善するためのフィードバックを提供していただけるWorkplaceカスタマーの皆さまにお使いいただいております」。

デスクトップアプリケーションは、Workplace Chatの専用Webサイト(Messenger.comをモデルにしているサイト)と同様に動作する。大きなダッシュボード上では、全ての会話記録、テキスト検索、そして今や普通の機能である、写真、ビデオ、音声クリップ、絵文字、GIF、そしてWebカムの共有が提供される。他のウィンドウの上に表示されるデスクトップ通知を設定することもできるので、メッセージを見逃すこともない。

Workplace Chatは、カジュアルなゲームプラットフォームであるFacebook Gameroomを除けば、Facebook唯一のデスクトップソフトウェアである。 Facebookは、2012年にWindows向けMessengerアプリを提供しようとしたことはあるものの、2014年にはそれを中止している。それ以来、それっぽいものながら、サードパーティによる偽のデスクトップアプリケーションの数が急増している。Messengerチームは、これまではデスクトップ機能やウェブ機能ではなく、モバイル機能に主眼を置いて来た。しかし現在は、13億人の月間ユーザーを抱えているため、成長を続けるためにデスクトップソフトウェアの探究を行っている可能性は高い。

何でも共有。あなたのスクリーンも

Facebookにとって全く新しいのはスクリーン共有だ。Facebookがテキストからビジュアルなコミュニケーションに進化するにつれて、あなたが見ているものを他の人びとに見せることができるようにすることが、ビデオチャットの重要な補完機能となるだろう。Slackはデビュー4年目のこの5月に、やっとスクリーン共有機能を追加したが、Workplaceはそのデビューから1年も待たずにそれを提供することとなった。

現在スクリーン共有は、Workplace Chatデスクトップアプリケーションと、Webの両方で利用できるようになっている。フルスクリーンを共有するだけではなく、実行中の特定のデスクトップアプリを選んで共有することも可能だ。これは秘匿性の高い仕事のデータや通信などをうっかり晒してしまい、当惑することを防ぐためには重要な仕組みである。たとえば、ExcelやWebブラウザのみを共有することはできるが、Slackや電子メールクライアントを共有することはできない。

スクリーン共有において、このレベルのプライバシーを確​​立することは重要である。なぜならこれはFacebookによって作られたオフィスソフトウェアを利用する顧客たちの、最大の懸念事項の1つなのだ。これが、Facebookがあなたの通常のソーシャルネットワークプロファイルをWorkplaceには直接統合することはせずに、それらを完全に別々に保つことを選択した理由だ。ニュースフィードとインスタントメッセージが仕事に役立つからといって、あなたの上司に自分のソーシャル活動を見て欲しいわけではないからだ。

要するに、新しいデスクトップソフトウェアは、ChromeやFirefoxの中に紛れてしまいそうな場合に、Workplaceをコンピューター上のお好みの場所に置くことができる仕掛けなのだ。Facebookは、慣れ親しんだデザインと目立つ専用のデスクトップアプリを組み合わせることで、同社が可能にしたいと望んでいる常時コラボレーションを促進することができる。

Workplaceは、従来のホワイトカラー従業員同士のみならず、企業内の全員が上から下までコミュニケーションを取れるように設計されている。これが幅広いアクセスポイントの提供が重要な理由なのだ。ほとんどのエンタープライズソフトウェアは不格好で不便だと考えられているが、Workplaceはそのアイデアを覆そうとするものだ。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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