Facebookでアメリカのサッカーリーグが観戦可能に

ライブストリーミング業界が盛り上がりを見せるなか、Facebookがある重要なディールを締結した。今後、Facebook上でメジャーリーグサッカー(MLS)の試合(少なくとも22試合)がライブ配信されるようになるのだ。MLSおよびUnivision Deportesとのパートナーシップ締結により、Facebookは2017年度のMLSレギュラーシーズンで行なわれる試合を英語で配信する権利を得た。インタラクティブな要素を多く含んだビデオコンテンツも同時に配信される。

このストリーミングコンテンツでは、Facebook独自のコメンテーターによる解説、インタラクティブなグラフィック、ファン参加型のF&Qコーナーや投票コーナーなどが設けられており、試合中に視聴者がコメンテーターたちと交流することが可能だ。

これらの試合はUnivisionでもスペイン語で配信されている。しかし、英語で配信する権利を持つのはFacebookだけだ。

このディールの一部として、MLSは「Matchday Live」と呼ばれるオリジナルのサッカー分析番組を40本製作し、彼らのFacebookページに投稿することが決まっている。この番組では同リーグの試合ハイライトやディスカッションなどを楽しむことができ、今後予定されている試合のプレビューも見ることが可能だ。

Matchday Liveのパイロット版はMLSが開幕する週末に放映されており、その後のエピソードは米国東部時間11日午後4時から順次放映されている。

試合のライブストリーミングはUnivision DeportsのFacebookページで視聴可能だ。第一弾となるのは、Atlanta United対Chicago Fireの試合で、東部時間3月18日の午後4時からの放映となる。

試合の様子はデスクトップとモバイル両方のFacebook Liveプラットフォームを通して配信される。The WSJによれば、放送ではモバイルでの視聴用に最適化されたカメラアングルが導入され、試合の合間に広告を表示するなどの施策が試験的に行なわれるそうだ。

Univisionによれば、同社のネットワークを利用してサッカーを観戦する英語話者の数は現在1800万人だという。今回のディールにより、そのようなファンへのリーチの幅を広げ、サッカーというスポーツへの関心度も高めていきたい狙いだ。

「私たちには情熱を持ったファンたちに応えるという使命があります」とMLS Business Venturesプレジデント兼マネージングディレクターのGary Stevenson氏は話す。「パートナーたちと手を組み、サッカーの試合をはじめとする私たちのコンテンツを、いつでも、どこでも、そしてどんなデバイスを持つファンにも届けていきたいと思っています」。

プラットフォーム上でライブ放送されるスポーツの試合を増やそうとしてきたFacebookにとって、このディールは重要なものだ。同社はこれまでにも、米国代表のバスケットボールチーム(男子/女子それぞれ)の試合をFacebook Liveで提供してきた。昨年には、Orlando PrideManchester United-Evertonのサッカーの試合や、スペインの女子サッカーリーグの試合を放送していた。同社はお気に入りのチームの動向をフォローできる「Sports Hub」と呼ばれる専用ページもローンチしている。

The WSJが2016年に報じたところによれば、Facebookは合計で400万ドルの費用を使ってスポーツチームやアスリート達にFacebook Live機能の利用を促している。また、FacebookがMLB(野球のメジャーリーグ)の放映権取得を試みていることが2月のReutersの報道により明らかとなっている。今回のMLSとのディールはこれまで報じられることはなかった。

ただ、スポーツチームと契約を結ぶのは簡単なことではない。大手テレビメディアとの既存契約により、放映権をFacebook Liveのような新しいプラットフォームに与えられる範囲が制限されているからだ。

しかし、多くの企業がこの分野に参入しようとしているのは明らかだ。例えば、Twitterも同社のライブコンテンツを強化しようとしている最中であり、過去にウィンブルドンMLB、NHL(アイスホッケー)NBA(バスケットボール)、NFL(アメフト)などとディールを結んでいる。