Federacyが目指す、スタートアップでも使えるバグ報奨金プログラム

Y Combinator Summer 2018クラスのメンバーであるFederacyは、とても小さなスタートアップでも、バグ報奨金プログラム(見つけたバグによって謝礼を支払う制度)を利用できるようにすることが使命だと考えている。

従来からあるBugcrowdやHackerOneなどが提供するバグ報奨金プログラムは、より大きな組織向けに提供されてきた。それはそれで意義のあるものだったが、双子であるWilliamとJames Sulinskiの2人は、市場にはギャップがあることを感じていた。すなわちそうしたサービスが重要な意味を持つ小規模な組織が閉め出されていることだ。彼らはバグ報奨金プログラムをつくり、外部のリサーチャーたちを知らずともプログラムに簡単にアクセスできるようにしたいと考えた。それがFederacy誕生の動機だ。

「プラットフォームを自由に設定できるようにして、驚くほどシンプルにすることで、最もリソースの厳しいスタートアップに対しても、価値を引き出す上で最大のインパクトを生み出すことができると考えています。そうすることで、現在はBugcrowdやHackerOneなどを介して、数百社程度の会社が採用しているだけの報奨金プログラムを、将来的には100万以上の会社が採用できるものへと広げたいと思っています」と、William SulinskiはTechCrunchに語った。

これは野心的な長期目標だが、現時点ではまだ着手した段階に過ぎない。実際兄弟は、2、3ヵ月前にY Combinatorに参加したときから、プラットフォームの構築を始めたばかりだ。一度動く製品を作ったあと、彼らは仲間たちを使い、知識のある友人たちをセキュリティ研究者と見立てて、テストを始めた。

彼らは先週初めて、Hacker News上でサービスを公開し、すでに120件以上の登録があったことを報告している。彼らの目標は、年末までに1000件の登録を集めることだ。そうなれば数の上で最大のバグ報奨金プラットフォームになると、Williamsは言う。

スクリーンショット提供:Federacy

現時点では、彼らはプラットフォームに参加する全てのリサーチャーを審査しているところだ。もちろんこのアプローチを永遠に続けることはできないと認識しているものの、少なくともプラットフォームを構築している初期段階では。彼らはアクセスに対するコントロールを手にしていたいと考えている。彼らは、リサーチャーたちがエコシステムにもたらす価値を認識しており、特に注意を払う予定だ。

「リサーチャーたちを尊敬し注意深く扱うことは本当に大切です。こうした人たちは信じられないほどスマートで貴重ですが、しばしば適切な扱いを受けていません。大事なことは、彼らが報告を行ったときに、きちんと対応することなのです」Sulinskiは説明した。

スクリーンショット提供:Federacy

将来的にも、兄弟はプログラムの構築とプラットフォームの開発を続けていきたいと考えている。彼らが持っている一つのアイデアは、クライアントが特定のリサーチャーとの関係をもち、その個人と契約したい場合には、手数料を得るということだ。また各報奨金のわずかな部分を収益として得ることも計画している。

典型的なYCの参加者とは異なり、兄弟は30代半ばと少々高齢で、20年以上にわたる職業経験を身に付けている。 片割れのJamesは、2013年にTwitterが3億5,000万ドルで買収したモバイル広告プラットフォームMoPubのエンジニアリング責任者だった。それ以前には、Facebookが2010年に買収したファイル共有サイト、drop.ioのインフラストラクチャの構築を手伝っていたこともある。Williamの方は、AccelGolfとPistol LakeのCEO、そしてSharehololicの創業メンバー兼プロジェクトリーダーを務めた。

幅広い経験を持ってはいたものの、兄弟はY Combinatorが彼らに提供した実用的なアドバイスに価値を見出し、その鼓舞する雰囲気に気が付いた。「先人たちが、このプログラムの中で作り上げてきた。素晴らしいものたちに対して、畏敬の念を抱かずにいることは難しいことです」とWilliamは語った。

[原文へ]
(翻訳:sako)

画像クレジット:Matt Anderson Photography / Getty Images

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。