Fintech企業向けにマーケットデータをAPIで提供、米Xigniteが日経グループと組んで日本上陸

ロボアドバイザーやネット証券企業にとって、基礎データとなるマーケットデータはどこにあるか? 例えば、特定企業の株価は今いくらか? 為替は? 金利は? 実はこれはとてもむずかしい問題で、ほかのインターネットの情報のように、パブリックにアクセスできるもの、かつAPIベースで取れるものというのはほぼ存在していない。東京証券取引所やニューヨーク証券取引所とダイレクトに繋いで使用料を払い、そこと「繋ぎ込み」を作ることになる。

2003年に創業した米Xigniteは、まさに、こうした問題に直面したFintechスタートアップの草分け的な存在だ。Xigniteは各国のマーケットからデータを正規に持ってきてアグリゲートし、これをAPIベースで使いやすく提供しているスタートアップ企業だ。

来日中のXignite創業者でCEOのStephane Dubois氏にぼくが聞いた話では、もともと2003年の創業時には資産運用の会社を作る予定だったそうだ。ところがマーケットデータを探してみたらYahoo Financeくらいしかデータがなく、仕方なくスクレイピングしていた。プロトタイプを持ってVC周りをするなかで、APIベースでのマーケットデータ提供のニーズに気づき、当初の創業理由からピボットした形だという。Xigniteは今や累計36億ドルの資金調達をし、年間1.5兆回のAPIリクエストをさばくFintech企業向けサービスに成長している。利用顧客は欧米を中心に1100社数で、モバイル証券のRobinhoodやロボアドバイザーのWealthfrontやBettermentのほか、Charles Schwabなど老舗金融機関も含まれるという。提供中のマーケットデータは40カ国となっている。

XigniteのDubois氏によれば、異なるマーケットのシステム的な繋ぎ込みの煩雑さをなくせるのが価値という。ネットでデファクトスタンダードとなったREST+JSON形式のAPIを使うことができ、リアルタイムにデータをモバイル端末上のアプリから直接引っ張るようなコードが書ける。エンドユーザー向けに情報提供をしているFintech企業であっても、マーケットデータを取得して自社サーバ(クラウド)に保持する形を取る必要はなく、ウェブアプリのフロントエンドやモバイルアプリからXigniteのデータを直接取得する形にすることで、システムの開発や運用を簡素化できる利点がある。各国証券市場の技術仕様が標準化されておらず、そこのアグリゲートを行う水平分業を行っているのがXigniteと言えそうだ。

そんなXigniteは今日、日本経済新聞社グループで金融情報サービスを提供しているQUICKと共同サービス「QUICK Xignite APIs」の提供を開始した。国内外の株式や投信、為替、金利など、投資や資産運用向けFintechサービスに必要となるマーケットデータをAPIベースで利用できるようになるという。日本やアジアをはじめ世界のリアルタイム金融情報、ヒストリカル情報を提供する。ちなみに、Xigniteはクラウドベースなので、いわゆる高頻度取引には使えないが、ある程度の遅延があるデータ、ほぼリアルタイムのデータなど複数のAPIが用意されていて料金体系が異なるそうだ。なお、QUICKは2016年2月にXigniteへの出資を発表している

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。