Furlencoが3000万ドルを調達、インドのミレニアル世代に広がる家具レンタルサービスの利用

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近年、アメリカ経済の所有に関する概念が大きく変わり、以前はモノを所有するということに重きが置かれていたのを忘れてしまうほどだ。振り返って考えてみると、ほとんどの人は、両親とAirbnbやUberについて話した後に、他人のモノを使うことの危険性に関して諭されたことが一回はあるだろう。

インドに本社を置くFurlencoでCEOを務めるAjith Mohan Karimpanaは、モノの所有に関するミレニアム世代の価値観や優先順位について、インドでも同じような考え方の変化が起きていると説明する。端的に言うと、彼らはモノを所有することに全く興味を持っていないのだ。インドのミレニアム世代は頻繁に旅行をしてチャンスを探し求め、無機質なモノを所有するよりも経験を重視している。

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アメリカと同様にインドでも若者の動きに反対する意見が出ているが、もともとゴールドマン・サックスに勤めていたKarimpanaは、将来有望な若者に”モノ”という重荷を負わせないために、そもそもモノを購入しなくてすむようなサービスを提供するFurlencoの設立にこぎつけた。Furlencoは手始めに家具のレンタルサービスに注力しているが、Karimpanaはこれが終着点とは考えていない。

そしてFurlencoはこの度、大型の資金調達を完了したと発表した。総額3000万ドルにおよぶ調達資金のうち、1500万ドルはLightbox VenturesとAxis Capitalをはじめとする投資家からエクイティで調達され、残りの1500万ドルが銀行やノンバンク、個人、ファミリーオフィスからの借入で調達された。アメリカでは調達金額がこのレベルに達するとプロダクトマーケットフィットを意味するが、インドではこの金額はもっと大きな意味を持っている。1500万ドルという金額の借入はインドでは珍しく、これはKarimpanaが消費者の行動を正しく理解しているというだけでなく、レンタルモデルが本当に儲かるビジネスだということを表している。

ここで誤解してほしくないのだが、Furlencoを家具のAirbnbと呼ぶのは間違っている。Furlencoは、インドの家具市場の上流でディスラプションを起こすに足りるAirbnbの精神を持った、Jonathan Ive(アップルのチーフ・デザイン・オフィサー)とIkeaの間の子ような存在だ。実際に同社は、より良い家具を作るべく多数のデザイナーを雇用している。そしてそれぞれの家具は、長い間使えるように、修繕がしやすい無垢材をたくさん使って作られている。

他の世代の人たちは、ミレニアル世代の何でも欲しがる性格をよくからかうが、Karimpanaはこの特徴を頭痛の種ではなく、チャンスとして捉えている。現在Furlencoのチームは、高品質なリクライニングチェアーを作っており、これは見た目に美しいだけではなく、携帯電話よりも簡単に別のものと交換することができる。部屋の雰囲気に飽きたら家具を交換すればいいし、給料の良いテック系の仕事をみつけ、バンガロールからプネーに引っ越すときも家具を交換すればいいのだ。この仕組みは、人生の節目で計画が変わる度に使っている家具を売って新たな家具を購入するよりも安く、そして簡単に家具が変えられるようにするために作られたものだ。

「必要だから借りるのではなく、借りたいと思えるものを借りるべきです」とKarimpanaは語る。

float-1これまでに1万5000世帯へ2000万ドル分の貸し出しを行っていることから、Furlencoの狙いは当っていると言っていいだろう。そしてこの急速な成長にも関わらず、家具の使用率は95%以上を保っている。つまり、利益を圧迫する原因となる使われていない家具をしまっておくための大きな倉庫は、Furlencoには必要ないのだ。

他の経営者の逸話のように、Karimpanaのアイディアは30〜40社のベンチャーキャピタルに断られ、最終的に1社だけが興味をもってくれたと彼は説明する。その証拠に、FurlencoのシリーズAのクローズには一年以上かかった。結局、Lightbox Venturesが、このコスト集中型のビジネスモデルに賭けることにしたのだ。

自社で家具のデザイン・製造を行うのにはお金がかかるが、借入には役立つ。というのも、Furlencoは実質的に物理的な担保のある金融商品なのだ。さらにKarimpanaは、サブスクリプションモデルのおかげで、Furlencoの売上予測は立てやすいと言う。一般的に家具の回転率は低く、Netflixユーザーなどに比べて、家具の購入を検討している人は、その家具を購入することで得られる価値をかなり現実的にみているのだ。 work-from-home-1

レンタルサービスから成り立つ生活スタイルを試してみようと思っているが、自分の好みにあった家の雰囲気を作りだすほど十分な選択肢がないのではと心配している人がいれば安心してほしい。Karimpanaは、クォーター毎に1、2種類の新しい家具を市場へ送り出すというアグレッシブな計画を立てている。さらにKarimpanaは家具と電子機器のつながりにも何か考えをもっているようで、今後Furlencoが他の革新的なレンタルサービスを提供していく中で、その考えが具現化していくのを見るのが楽しみだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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