Go Discoは地元のリアルイベントをキュレーションし、サービスで人と人とのリアルな共感関係を作るアプリ

Go Discoアプリ

Foursquareの全盛期はとっくに過ぎたが、自分の地元のクールな催しを見つけるという問題は健在だ。口コミとFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)を組み合わせるという、面倒な方法に頼っている人も多いようだが、実際には、アプリを離れて世界に出ていくことを助けてくれる良いアプリは少ない。Go Discoはここに注目した。

Go Discoの共同創業者であるSean Conrad(ショーン・コンラッド)氏は次のように語る。「簡単にいうとこれは、あなたをオフラインにして、日頃気にかけている人たちと一緒に過ごすためのアプリなんだ」。つまりGo Discoはイベントレコメンデーションエンジンだが、コンラッド氏によるとこのアプリは、エンゲージメントを注入してユーザーをつなぎとめるソーシャルネットワークに対する解毒剤でもある。

「テクノロジーは、医療やロジスティクスや運輸・交通に利用されて人の命を救い世界を効率化したけど、悪い面もある。それは、人間の社会生活に市場原理を強要したことだ。ポケットの中の、人を元気にする魔法のようなデバイスが、我々の社会生活にとって悪夢になっている」とコンラッド氏はいう。

コンラッド氏は以前、消費者アプリのデベロッパーで、もう1人の共同創業者であるJesse Berns(ジェシー・バーンズ)氏はデータサイエンティストだ。iOSバージョンは米国時間12月17日にローンチしたが、Androidは2022年半ばになる。ローンチ時のGo Discoは、ロサンゼルスのクールなイベントを紹介するだけだが、2022年内にはニューヨークとワシントンD.C.、サンフランシスコ、マイアミ、ポートランド、そしてオースチンも対象となる。

 

Go Discoは、ローカルイベントの検索や分類を自動化システムと人力を併用して行っている。人の編集チームは、他では見つからない特定のコミュニティに結びついたアンダーグラウンドな催しを見つける。

同社のイベント集積技術は、公開されているイベントのリストを特定の用語でふるいにかけ、それを65種類の関心のリストに割り振る。アプリにサインアップすると、まずそのリストから関心を選ぶ。ロッククライミングもあれば、書籍もあり、LGBTQのコミュニティや活動もある。

コンラッド氏は、Go Discoのレコメンデーションで人間的な感触の重要性を強調している。それによりレコメンデーションが格差や差別に陥ることなく、思いやり豊かなものになる。またそれは、そこから選ぶのが大変な何でもありのイベントのカレンダーではなく、個人とコミュニティに配慮し、意思決定の面倒をユーザーに押し付けない。

Go Discoにとっては、「少ない」ことが「良い」ことだ。ユーザーが住んでいる都市で行われるすべてのイベントを載せるのではなく、そのユーザーにとって楽しめると思われるイベントだけを選別する。コンラッド氏は「何もかも載せる必要はない。3つから5つの本当にニッチなイベントを紹介すればいい。完全なアプリとは、ユーザーがそれを開いたら必要なものだけがそこにある、それを見たら終わりというアプリだ。何かを見つけるのに時間がかかるのはダメなことです」。

アプリの最初のバージョンは米国時間12月17日にローンチするが、今後はユーザー体験を深めるためにソーシャルなレイヤーを追加する計画だ。2022年3月頃に、Go Discoは今後のイベントについてユーザー同士がコミュニケートし、リプライがスレッドになるような機能を加える。それまでは、一般的なシェアとカレンダー的な機能だけとなる。

ソーシャルのレイターを加えるとGo Discoは、友だちと日程などを調整するためにテキストのスレッドを探しまくるという困難からユーザーを解放し、特定のイベントに群がる人たちを、そのイベントの周りに集めるようになる。そして会話がイベント固有になれば、ユーザーは単純にその会話に参加すればよく、1つの巨大なテキストの塊の中から特定のスレッドを苦労して探さなくてもよくなる。

コンラッド氏によると「私にはロッククライミング好きの友だちもいるし、グルメな友だちもいる。そして音楽の友だちもいる。一部は重複しているが、そうでない人たちもいる。そえを3つの極端にノイズの多いテキストのスレッドにはしたくない。それぞれの友だちグループとエンゲージして、接続した状態を維持したい。それと同時に、私のライブの音楽友だちが参加するようなライブすべてに行きたいわけでもない」。

Go Discoはまだ初期の段階だが、収益化については一定の考えを持っている。このアプリはユーザーデータは販売しないが、チケットを売って手数料を取ったり、特定のユーザーに有料の機能を提供することは行うだろう。コンラッド氏が強調するのは、イベントの宣伝を載せるような場合も、思いやりを忘れないことだ。なぜなら、このプロジェクトの全体が思いやりのある選択と編集方針をベースにしているからだ。健全なS/N比を維持することも重要だ。また、多くの人たちのリアルでの結びつきを尊重し、彼らをより幸福にしたいと考えている。

「子どもたちが、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)が作ったフェイクの世界で成長することを想像すると、とても悲しくて怖ろしい。その世界は、私たちをお互いに戦わせるために作った奇妙なアルゴリズムの増幅にすぎない。私たちが何度も考えたのは、他者への共感が今のこの状態を緩和できるということです。そして、人が一緒にいることが共感を強制的に作り出す関数だと考えています」。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

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