GoodRxが尿路感染症や避妊、勃起不全などを相談できるオンライン診療サービスに進出

オンライン診療サービスのHeyDoctor(ヘイドクター)の買収から数カ月経ち、GoodRx(グッドアールエックス)は買収をテコに新サービスのGoodRx Care(グッドアールエックス・ケア)を立ち上げた。Hims、Hers、Nurx、Roなどのオンライン診療サービスに正面から挑む。

処方薬の薬局間コスト比較および薬の割引クーポンの世界ではすでに10億ドル(約1100億円)の巨人であり、すでに1000万人以上のユーザーがGoodRxのサービスを利用している。

一方GoodRx Careはオンライン診療サービスで、顧客は医師への相談のほか、治療、処方箋、臨床検査を受けることができる。サービスは多岐にわたり、尿路感染症や避妊、勃起不全、植毛に至るまで必要な症状や病気をカバーする。Ro、Hims、Hers、Nurxなどのオンライン診療サービスが提供するサービスと同様だ。

GoodRxの共同CEO兼共同創業者であるDoug Hirsch(ダグ・ハーシュ)氏は「長年にわたり、何百万人もの米国人が手頃な価格の処方薬を手に入れるのを支援する中で、簡単に医者にかかれない人が多いことがわかってきた。GoodRx Careの立ち上げにより医療に対する要望と現状のギャップを埋めるため、米国人の医療へのアクセス、処方の順守、診療価格の点で改善を目指す」と説明する。

ハーシュ氏とGoodRxにとってオンライン診療への進出は、サービス拡大の通過点として当然だった。「GoodRxに来る人の3分の1が再びGoodRxに来る。処方箋がないのに来る人もいる。処方箋が必要なことを知らないからだ。弊社のサービスには処方箋が必要だと長い間説明してきた。遠隔診療という選択肢があることにも言及してきた」とハーシュ氏は述べる。

これからは自社で遠隔診療サービスを行うため、そういった顧客を取り込めるようになる。

テクノロジー企業もヘルスケア業界へ進出しようとしている。Amazonは従業員専用のヘルスケアサービスを始めた。遠隔診療と対面診療の両方を提供する。アップルにも従業員向けの独自の医療サービスがある。

Best Buyでさえヘルスケア業界に大きなチャンスがあるとみている。医療サービスが自社の利益に与えるインパクトはますます大きくなると予想する。高齢化、遠隔診療、乳児と育児のケアに対応するテクノロジーの開発がハードとソフトの両面で進んでいるからだ。

ヘルスケアサービスのコストが上昇し、価値が低下する現状で、ヘルスケアの新しい選択肢に対する需要は増える一方だ。

GoodRxが指摘するように、プライマリケア(かかりつけ医のような初期的・総合的なヘルスケアサービス)を行う医師に簡単にかかることができない米国人がほとんどだ。医師の診察が3週間待ちというのも珍しくない。米国ではこの先15年で最大12万人の医師が不足する見通しもある。2750万人以上の米国人が健康保険に加入しておらず、低コスト診療への需要があるのは明らかだ。

一方、米国人が必要としているのが、抜け毛や勃起不全、にきびの治療、まつげの成長または肥満診断を行う医師へのアクセスなのかどうかはそれほど明白ではない。

ハーシュ氏は、今後数カ月でさらに多くのサービスを提供すると述べる。「我々の遠隔診療はまだ始まったばかりだ」「手頃な価格で受けられる安全なプライマリケアへの進出を続けたいと考えている」と同氏。

当面は価格の引き下げと、顧客が望むサービスに正しく誘導する仕組みの構築に注力する。ハーシュ氏は「我々のサービスの多くは遠隔診療によるものだ。ほかなら相談や処方箋に数百ドル(数万円)かかることもある」「我々のサービスでは1回の診療で20ドル(約2200円)。今日にでも申し込める。価格の選択肢もある。医者に診てもらうことができる。見たければここに価格とクーポンのリストがある」と説明する。

ハーシュ氏によると、HeyDoctorは2017年の立ち上げ以来10万件以上の相談を受け、GoodRxともすでに連携していた。買収条件は公表されていない。

HeyDoctorの買収は戦略的な賭けだ。CNBCのレポートによると以前約28億ドル(約3000億円)のバリュエーションでプライベートエクイティファンドであるSilverlakeから資金調達しており、それ以来の重要な決断となる。

「医療システムがますます細分化され混乱するなか、我々の目標は基本的な医療ニーズに1カ所で応えられるワンストップショップとしてサービスを提供することだ」とハーシュ氏は述べた。

画像クレジット:Robert Kneschke / Shutterstock

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。