Google、低価格で高速な「コールドデータ」サービス “Nearline” をスタート


Googleは今日(米国時間3/11)新しいタイプのクラウドストレージサービスを開始 した。これは、スタートアップからエンタープライズまで多くの企業のオンラインストレージに対する考え方を変える可能性を持つものだ。Googleのクラウドストレージ “Nearline”を使って、企業は自社や顧客のアクセス頻度の低いデータ(バックアップ、ログ、古い写真等)を、1ギガバイト当たり0.01ドルで保管することができる。

「コールドストレージ」は新しい概念ではない。しかし、AmazonのGlacier等、他のコールドストレージサービスが、凍結されたデータを再び利用できるまでに何時間もかかるのに対して、GoogleはNealineのデータを3秒以内にアクセスできることを約束している。

Googleのクラウドプラットフォーム製品管理責任者、Tom Kershawは今週私に、オンラインストレージとオフラインストレージのコストの違いは減小するべきだと信じていると語った。

オンラインサービスは常に比較的高価だが、例えば巨大なメールサービスを運用していると、顧客は自分の全メールを瞬時に検索したいと考える。古いメッセージをオフラインストレージに置き、ユーザーにバッチ処理が終るまで1時間待ってくれとは言えない。

同じように、企業によっては自社のログファイルをできるだけ長く保存していたい(しなければならない)。しかし、オフラインに移動すれば過去データを高速に分析できなくなる。

Nealineを使うことで、Googleは通常のオンラインストレージとコールドストレージの境界を曖昧にして、企業がデータを削除したりファイルをコールドストレージに移動したりせずに済ませたいと考えている。

「われわれは何も捨てなくて済む経済的なサービスを作りたかった」とKershawは私に言った。「Googleは物事を保存するのがかなり得意だが、どんな組織も自分のデータを身近に置けるようになるべきだ」

Kershawによると、Googleがこれを競争力のある価格(AmazonのGlacier相当)で提供できるのは、すべてのデータを一つのシステムでホスティングできるからだという ― オンラインであろうと「ニアライン」であろうと。このようなシステムの共通性は独特のものだと彼は主張する。

従来からストレージ会社は2種類の異なるシステムを構築してきたが、オフラインストレージで最も難しく最も高くつくのが、実は2つのシステム間でデータを移動することだった。そこでNearlineでは、バックエンドにGoogleの通常のストレージ製品と全く同じシステム、全く同じ暗号化やセキュリティー機能を使用した。さらにAPIもGoogleの標準オンラインストレージサービスと共通にした。

Googleは多くの初期ユーザーがこのサービスを写真、ビデオ、文書等の保管に使うことを想定している。多くの企業は、万が一ユーザーが欲しがった時のためにこうしたデータをオンラインで持っている。

市場をいっそう広げるために、GoogleはVeritas/Symantec、NetApp、Geminare、Iron Mountainらとパートナー契約を結んだ。いずれの会社もGoogleの新サービスを多くのエンタープライズ顧客に提供することになるが、中でもIron Mountainは、ユーザーがハードディスクを送付すると安全にNearlineにアップロードしてくれるというユニークなサービスだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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TechCrunch Japan

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