Google、架空のチーズケーキのCMで効果を検証――これが6つのポイントだ

Googleのスキップ不可の動画広告チームはCMの効果を判定する説得力ある方法を実験した。GoogleはDoctor Forkという架空のチーズケーキのブランドを作り、ストック素材から33種類のCM動画を作成してYouTubeで表示し、2000万インプレッションを得た。

Unskippable Labsのクリエーティブ・ディレクター、Ben Jonesによると、CM業界で伝統的に「こうすべきだ」といわれてながら実際にテストされていない格言のようなものが多数あるという。たとえば「ものを食べている最中の人物をカメラ目線で撮ってはいけない」などがそれだという。

クリエーター全員がこれを金科玉条として絶対にCMでやらないなら、口をもぐもぐさせながらカメラを見るようなCMが本当に不可なのか実験されていないことになる。架空のケーキのブランドCMでJonesは「われわれのチームはまったく異なるアプローチで間違ったことでも自由にやってみた。「私が本物の広告では普段やらないようなことでもDoctor Forkは好きにやってしまう。架空のブランド広告なら間違っても構わないわけだ」と述べた。

Nestleとブリガム・ヤング大学でマーケティングを教えている准教授、Ryan Elderとの強力でこの実験が行われた。Doctor ForkのCMは2つの広い分野における疑問を解決しようとする試みだった。その一つは 感覚的刺激の効果(これはElder博士が専門に研究している分野)、もう一つは人間の存在の効果(つまり飲食物のCMにおける人間の露出量の適正値)を知ろうというものだ。

Googleは以下のように実験の結果を要約している。

1. 没入的かつ複数種類の感覚刺激は単一種類の感覚刺激より記憶されやすい
食べ物CMはlオーディオ、ビデオ、テキストなど可能なすべての手段を活用すべし。

2. ビジュアル情報とテキスト(音声、字幕双方)をずらした方が記憶、好感度ともにアップすさせる
ビデオ部分と音声、テキスト部分を別々に再生すべし。

3. 行動指示は記憶、好感度ともにアップさせる
食べ物広告では行動を促すことは効果がある

4. 食べ物は画面いっぱいに表示する
食べ物を売るにはスーパークローズアップは効果があり、想起率も高い。

5. 「食べてにっこり」だけがおいしさを表現する方法ではない
食べ物と人間の関係には無数のバリエーションがある。紋切り型にとらわれず自由な表現を試みるべし。

6. 一人称視点(POV)動画に対しては、若い世代の方が年長の世代より好意的反応を示す

Elder博士は「広告では大学における研究が現実に応用される例は少ないし、あってもたいていは遅すぎて大きなインパクトを生んでいない。逆にアカミズム関係者は理論的な面を重視して現実的な結果を考えない傾向があり、研究のインパクトを減少させている。今回のGoogleとの共同作業ではアカデミックな研究が実際の環境でテストされ、ただちに企業によって現実のビジネスに応用されたユニークな例だった」と書いている。【略】

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滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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