Google、300×250のモバイルページトップ広告を許可――ユーザーフレンドリーは後退?

昨日(米国時間5/2)、GoogleはAdSenseの約款をアップデートし、広告掲出に関する規制を一部緩めたことを発表した。これにより、従来は禁止されていた“above the fold”(スクロールせずに見える範囲)に広告を表示することが可能になった。今後は300×250の広告〔レクタングル(中)〕をモバイルでウェブページのトップに表示してもAdSenseの約款違反にならない。

なるほど。

300×250の長方形といえば、スマートフォンの小さな画面の相当部分を占めるサイズだ。しかしこれまではページをスクロールしなければこうした広告を目にしなくてすんだ。しかし今回の変更でモバイルウェブページを開いたとたんに大きな広告が目に飛び込んでくることになる。トップページの残りの部分にはコンテンツを表示する場所がろくに残らない。特にコンパクトサイズのスマートフォンの場合はそうだ。

この変更をもたらした原因の一つは、まさにその点だろう。多くの消費者がiPhone 7 Plus、Samsung Galaxy S8+、Google  Pixel XL、Huawei Mate 9 等々の大型スマートフォンを好むようになった。大型スマートフォンは当然画面のサイズも大きい。しかしGoogleは声明で「(above the fold広告は)消費者を苛立たせ、コンテンツを読むことを妨げるなどの副作用なしにユーザーフレンドリーな広告として掲出できることが判明した」からだと述べている。

本当だろうか?

そもそもこの位置の広告が禁止されていたのは「ユーザーフレンドリーではない」からだったはずだ。長方形の中型広告は、当然ながら、ページの本来の大半をコンテンツを次のページに追いやる。

このことはGoogle自身がAdSense文書で説明している(今のところまだこの部分はアップデートされていない)。

パブリッシャーは広告がページコンテンツを次のページに追い出すようなレイアウトを採用してはならなない。こうした理由からGoogleはモバイルウェブの場合、300×250またはそれ以上の広告ユニットをabove the foldの位置に表示することを許可していない。このようなレイアウトはユーザーがサイトのコンテンツを表示させるためにページを下にスクロールさせる必要が生じるからだ。【略】

なるほどGoogleは昨日のブログ記事でも、パブリッシャーはモバイルページで広告がコンテンツの消費を妨げることがないようレイアウトの十分に「気を配る必要がある」と述べている。

だが、今回のモバイル広告の規制の緩和はわかりやすいレイアウトを実現する努力に逆行していないだろうか?

Googleのモバイルウェブに関する改良の努力の中心はユーザーフレンドリーさだ。AMP広告(モバイル広告を高速にロードするテクノロジー)や Chromeブラウザに広告ブロック機能を導入したのも、苛立たしい待ち時間や広告表示をできるだけ減らそうとするのが目的のはずだ。

しかしGoogleの本質はやはり広告企業だ。GoogleのCPM(クリック単価)が低落傾向にある中、 同社はユーザーからより多くの収益を上げる必要に迫られている。Googleは株主を満足させておくために少しでも多くのインプレッションを必要としている。above the fold広告の許可はインプレッションを増やし、クリックも増やすことになるだろう。

画像: Marcio Jose Sanchez/AP

〔日本版〕日本のAdSense広告での取扱はまだ不明。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+