Googleが「中国政府は香港へのデマ拡散、不穏化にYouTubeを組織的に利用」と発表

Googleは中国政府がYouTubeを利用して香港のデモ参加者の間に「不和と混乱をもたらそうとしている」と発表したが、これに続いてビデオプラットフォーム、YouTubeのアカウント210件の削除が発表された。

今週始め、TwitterとFacebookは、中国政府がソーシャルメディアサイトを使って香港情勢に関連してフェイクニュースなどニセ情報を拡散し、デモの弱体化を図っていると発表した。Googleグループの有力メンバーであるYouTubeもこれに続くこととなった。一国二制度による特別地域である香港で中国政府に反発するデモが広がっていることに対し、同政府は鎮圧を警告し、介入を図っていた。

「プラットフォームの公正さの維持」と題するGoogleのブログ記事で、同社の脅威分析グループののShane Huntley(シェーン・ハントリー)氏は「香港の現下の情勢に関連して組織的な方法でビデオがアップロードされていることが探知されたためこの措置を取った」と述べている。

ハントリー氏はさらに「この事実の発見はFacebookとTwitterによる最近の判断を裏付けるものだ」としている。

今週はじめ、Twitterは「中国政府は抗議参加者の間に「不和をもたらすために我々のソーシャルメディアを利用している。背後に政府がある組織的な活動だ」とした。

Googleのブログによれば、アカウントオーナーの身元を隠すためにVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)その他の手法が使われていることが発見された。Facebook、Twitter、Googleはいずれも中国では禁止されており、VPNは中国の巨大な検閲システム、いわゆるグレート・ファイアウォールをくぐり抜けるために一般市民にも広く使われている。

ただしGoogleは不正な活動を行っていたアカウントについては詳しく言及せず、研究者、専門家向けに技術的詳細が明らかにされるかどうかは不明だ。

Googleに取材を申し込んだが解答は問題のブログへのリンクだけで、コメントはなかった。

この週末には100万人以上が中国政府の支配強化に反対するデモを平穏行った。租借期限が切れるのを機に1997年に英国政府は香港を中国に返還した。この際合意された一国二制度により香港の民主主義は保障されることとなっていたが、今年初め、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は逃亡犯条例の改正を強行しようとした。これは理由を問わず香港人を逮捕して中国本土で裁判にかけることを可能にするもので、香港および民主主義各国の強い反発を呼んだ。条例改正は凍結されたが「中国政府は香港の自治に介入しようと図っている」として抗議行動が続いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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