GoogleがAndroid、Nougatを正式公開―画面分割、通知、履歴ボタンでアプリ呼び出しなど改良点多数

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GoogleがAndroid 7.0の公開ベータ版今年3月に公開したのは驚きだった。Androidは毎年アップデートを行っていたが、このベータ版(Nougat〔ヌガー〕と命名)の公開は時期が非常に早かったし、無線を利用した over-the-airのアップデートが可能だった。

さて半年後の今日(米国時間8/22)、Nougatからベータ版が外れ、 Googleの独自のNexusデバイス(Nexus 6、Nexus 5X、Nexus 6P、Nexus 9、Nexus Player)、Pixel Cタブレット、General Mobile 4Gで正式に利用できるようになった。

もし上記デバイスのいずれかを持っているなら(Nougatベータ版をすでにインストールしている場合でも)、アップデートのプロンプトが近々表示されるはずだ。Android Nougatをプレインストールした最初のスマートフォンはLG V2にはるはずで、9月上旬にも発表される。

ただし今回のNougatのアップデートにはある程度の時間が必要らしい。Googleの広報担当者に取材したところでは上記のサポートされたデバイスのすべてにアップデートが行き渡るのに数週間かかるだろうということだった。

私はここ数ヶ月Nexus 6PとPixel Cの両方でNougatのベータ版を使ってきた。Googleによれば新OSのメジャー・アップデートは250箇所に及ぶということだが、デバイスをアップデートしたときにユーザーが気づくのはそのうち数カ所だろうと思う。

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いちばん目立つのは通知システムの変更だ。見た目としてGoogleのマテリアル・デザインのガイドラインに忠実なものになっているし、さらに重要な点として機能が大幅にアップデートされている。ユーザーはメールを通知内からアーカイブしたり、メッセージに直接返信したりできる。Nougatは同一デバイスの通知のバンドル機能も利用できる。

またクイック設定(Quick Settings) パネルの動作も大幅に変わった。デベロッパーモードを使わずにアイテムの表示順を変えることができる。画面の上部からスワイプでパネルを少し引き下ろすと5個の機能が利用できるクイック設定が表示される。さらにいっぱいに引き下ろすとすべてのオプションが表示される。

もうひとつの非常に便利な(ただしユーザーが予備知識なしに発見するのは難しい)アップデートは最後に使った2つのアプリを切り替えられる機能だ。画面下部右側に表示される四角いボタン(現在は過去に使用したアプリが一覧表示される)をダブルタップすればよい。これまでのところ四角いボタンをダブルタップして直前のアプリを呼び出すという操作は私が一番頻繁に使うNougatの新機能だ。

Nougatでは画面を分割して2つのアプリを並べて表示することができる。Samsungその他のメーカーはすでに画面分割機能を取り入れているが、今回はメーカーのスキンではなく、Android OSそのものの機能となった。

正直なところ、スマートフォンの狭い画面ではこれはさほど有効な機能には思えない。しかしPixel Cタブレットでは別世界になる。 高精細度の画面と使いやすいキーボードを備えたタブレットでは画面分割機能はGoogleドキュメントやMicrosoft Officeのようなツールの生産性を飛躍的にアップする。画面分割のサポートがないとPixel Cは単に大きなスマートフォンで、Androidが常に作業の足を引っ張っていると感じられた。しかしNougatでこの問題は解決されている。Pixel Cでの作業は楽しいというのに近くなった。なにより良いのはほとんどあらゆるアプリが手を加えることなく画面分割に対応することだ。デベロッパーがアプリを書き換える必要はまったくない。

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Android Nougatには多数の改良点があるが、多くはユーザーが普段は直接操作しないような部分にだ。しかしユーザー体験を全体としてアップするのに役立っている。

Nougatでは消費電力についても改良が行われている。Marshmallowではスリープ中の電力消費を押さえるDozeモードが実装された。Nougatでは外出時にデバイスをしばらく使わないでいるとユーザーが何も設定しなくてもDozeモードがオンになる。私自身はNexus 6Pでは画期的なバッテリー駆動時間の延長は感じていないが、これはいつもスマートフォンを使っているせいかもしれない。

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データ契約などの関係で通信量に注意を払っているユーザーには朗報だ。Nougatのデータセーバー(Data Saver)モードはバックグラウンドでのアプリのデータ通信を抑制する。通知領域へのプッシュ表示は可能だが、バックグラウンドで大きなファイルをダウンロードすることは禁止される(ユーザーはホワイトリストにアプリを登録してこの制限を外すことが可能)。

Googleはブートや暗号化の速度も改良されたとしている。またOSのアップデートも速くなる。従来はアップデート・ファイルをダウンロード、インストールしてから個々のアプリを新しいOSに適合するよう最適化していた。これにはだいたい15分前後かかる。Android Nougatではインストールをバックグラウンドで実行してしまうので、ユーザーは都合のよいタイミングでデバイスを再起動するだけでよい。再起動されたときにはOS、アプリともアップデート後の状態となっている。

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ゲーマーであれば、Googleが新しいVulkan規格を採用したことにより、新しいゲームの体験が改善されたことに気づくかもしれない。

NougatはまたDaydreamと呼ばれる拡張現実〔VR〕モードをサポートしている。この機能はVRアプリの表示をスムースにするということだが、Daydream対応のスマートフォンやヘッドセットが登場するのは年末近くになるようだ。

いつものことだが、Nexusのスマートフォン、タブレット、General Mobile 4Gを持っていない場合、手持ちのデバイスがNougatにアップデートされるのはかなり先になる可能性が高い。現在Android 6.0 MarshmallowがインストールされているのはAndroidの15%に過ぎない。いちばんシェアが大きいのはAndroid 4.4 KitKatで、30%弱の普及率だが、すでに3世代前のOSだ。Nougatが発表されてもAndroidのフラグメント化が一掃されるわけではないが、手に入るなら大いに価値のあるアップデートだ。

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画像: PaoloBis/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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