GoogleとSamsoniteのコラボでJacquardスマートファブリック対応バックパックが登場、価格は約2万1000円から

Google(グーグル)のスマートファブリックテクノロジーであるProject Jacquard(プロジェクト・ジャカード)がI/O開発者会議でデビューしてから4年以上になる。当時のGoogleのATAPユニット(グーグル先端技術研究部門)が手がけたJacquardは現在、最もよく知られているところではLevi’s(リーバイス)のデニムジャケットに使われている。Saint Laurent(サンローラン)はJacquardテクノロジーを組み込んだ1000ドル(約10万6000円)のCit-e(シティ)バックパックを発売した。Googleは米国時間10月5日、Samsonite Konnect-i(サムソナイト・コネクトアイ)バックパックの発売によりJacquardラインナップに4つ目の製品を加えた。スリムバージョンが200ドル(約2万1000円)、スタンダードエディションが220ドル(約2万3000円)。Saint Laurentのバックパックより財布に優しい。

Jacquardとは何か、思い出したいあなたのために復習すると、生地にタッチセンシティビティーを与えるグーグルのテクノロジーだ。つまり、ジャケットの袖や、バックパックの場合はストラップに触れると、携帯電話でいくつかの操作ができる。システム全体に電力を供給するのは小さなタグ(ミニUSBポートから充電する)だ。タグ内蔵のLEDと小さな振動モーターから通知を出すこともできる。

画像クレジット:Google/Samsonite

ジェスチャーとそれにより可能になる操作の数は比較的制限されている。実際に割り当てることができるジェスチャーは、ブラッシュアップ(上にスワイプ)、ブラッシュダウン(下にスワイプ)、ダブルタップの3つだけだ。この3つに、標準のメディアコントロールを割り当てたり(ブラッシュアップして「次の曲」に進むなど)、ピンをドロップして場所を保存したり、現在の時刻を尋ねたり、スマートフォンに情報を送ったり、次の行き先への経路や到着時刻を聞いたり、Googleアシスタントを起動したりできる。ジェスチャーによりスマートフォンのシャッターを操作してセルフィーを撮ることもできる。また、JacquardタグのLEDを点灯させる「ライト」機能がある。この機能が存在する理由は筆者にはよくわからない。LEDの光が弱すぎるからだ。グーグルは、群衆の中で注目を集めたり、夜に相手からの視認性を保つというが、かなり暗い洞窟でない限り誰もそれに気づくことはないだろう。

ここまででおわかりの通り、その構想はヘッドフォンをつけたまま街を歩き、スマートフォンの各種機能へのアクセスを可能にすることだ。

画像クレジット:TechCrunch

グーグルとリーバイスがJacquard対応のトラッカージャケットを発売してから約1年。当時それはJacquard 2.0でもあり、いくつかの追加機能と新しい装置が様々な製品で機能するようになったが、TechCrunchに限らずレビューの内容はかなり冷めたものだった。今回は違うのか、筆者には定かではない。

この数日間、バックパックを試してみた。以前と同じようにJacquardは宣伝通りに動く。ジェスチャー認識は期待どおりに機能した。筆者の電話からのアラートによりタグが振動する。市場への華々しい参入ではないにしても、快適だとはいえる。ただし、これはあくまでSamsoniteであり、ターゲット市場は必ずしも大学生ではなくビジネス旅行者だ(しかもその市場は当面死に絶えている)。

画像クレジット:Samsonite

バックパック自体にはスリムとスタンダードの2つのバージョンがある。唯一の実質的な違いは、スリムバージョンには垂直ジッパーがあり、スタンダードバージョンには水平ジッパーがあることだ。たくさんのポケット、パッド入りのラップトップコンパートメントなど、モダンなバックパックに必要なものがすべて揃っている。これを持って出張する自分の姿が容易に想像できる。

以前と同様に、Jacquardが目新しいだけなのか、実際に有用なテクノロジーなのかという疑問が残る。パンデミックのおかげで、我々のほとんどは以前ほど出かけなくなった。これからも間違いなく我々は旅行にたくさん出かけるということはない。この時節には適切な商品ではないかもしれないが、今起こっていることがすべて終わったら、ジャケットよりは多く使うだろう。結局、どこへ行くにしてもバックパックを使う可能性はあるが、半年間ジャケットを着続けることはない。Jacquardが約束するのは、スマートフォンに気を取られることなく、周囲の世界に集中できるようにすることだ。これが機能するためには、ユビキタスである必要がある。そうしないと、持っていたことも忘れてしまう。少なくとも筆者にとっては、ジャケットよりもバックパックの方がいい。

あなた自身にとって200ドル(約2万1000円)の価値があるかどうかは、あなたで判断して欲しい。

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カテゴリー:ハードウェア
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画像クレジット:Google/Samsonite

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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