Googleの水中ストリートビューはこうして作られる

Googleの水中ストリートビューは昨年9月にスタートしたが、実は同社のOceanプログラムは、6年前にKeyhole(後にGoogleに買収されてGoogle Earthになった)のファウンダーの一人が、海もマップにしようとひらめいた時に始まった。ここ数年、Googleは海の地図化を進めてきたが、ストリートビューを水中にもちこむことは依然として難題だ。

「われわれのゴールは、海のデータを増やすことによって地図データをより完全なものにすること。みんなを自分の家から海亀の家まで連れていきたい」とGoogleのJennifer Austin Foulkesは語った。これまでにGoogleは、オハフ島、マウイ島、グレートバリアリーフ周辺など6ヵ所でこれを実施している。

このプロジェクトには科学的要因が多く関わっているため、チームは画像を撮影するための厳格な手順を定めた。同プロジェクトでGoogleのパートナーを務めるCatlin Seaview Surveyのディレクター、Richard Veversは、彼のチームがこのプロジェクトで使用するカメラはGoogleが他のストリートビュー撮影者で使用するものとは全く異なると言う。まず、広角レンズを使う必要がある。Googleの水中ストリートビュー艇には、前面にカメラが3台あり、3秒毎に画像を撮影する。カメラの1台は下方に向けられており、これは従来から岩礁撮影で用いられている方法だからだ。水中スクーターの後部にはカメラを制御するためのタブレットが装着されている。

通常1回の潜水で約2kmをカバーし、カメラ1台当たり3000~4000枚の画像を撮影する。チームは1日に3回潜水し、それぞれ約1時間を要する。これまでに合計15万枚の画像が撮影されており、Veversはこの数字が今後数ヵ月で指数的に増えると予想している。長期的には、12時間以上潜水できる無人システムを作ることが目標だ。

通常のカメラに加え、同チームは3D画像を作るためのステレオカメラをテスト中で、最近では水中Hangoutを行ったり、Photo Sphereを使ってユーザーを魅せる実験をしている。

カメラシステムは1式約5万ドルで、現在4セット作られているが、うち2セットはまだ進水していない。

この水中データをストリートビューに取り込むために、VeversはGoogleの標準的ビジネス写真ツールを使用した。なお、画像の実際の位置は三角測量で求めた。これらの画像は科学者たちが無料で利用できることも特筆に値する。

チームは現在アメリカ大陸に焦点を絞っているが、今後3年間のうちに水中ストリートビューを世界中の海に持っていく計画だ(もちろん、全地域ではなくごく一部の場所だ)。もう一つの目標は、もっと多くのデベロッパーを巻き込むこと。データのクラウドソーシングおよび岩礁認識アルゴリズムの改善の両方が目的だ。既存のアルゴリズムは下方を向けたカメラの画像しか解釈できないが、同チームはカメラが捕えた全データを利用できるツールを作りたいと考えている。

海に対する脅威を踏まえれば、当然このプロジェクトには深刻な役割があるとVeversは指摘する。ストリートビューは、現在海が直面している脅威について大衆に知らせる重要なツールの一つだと彼は主張する。「人々は自分の目に見えないものを保護したいとは思わない」と彼は言う。殆どの人はダイビングをしないが、その人たちを仮想ダイビングに連れていけない理由はない。大衆や為政者の手に届かない限り、科学をやる意味はない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


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TechCrunch Japan

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