GoogleのCEO、YouTubeでの陰謀説対処で改善必要ありと認める

GoogleのCEO、Sundar Pichaiは今日、現実世界での暴力につながりかねないYouTube上の陰謀コンテンツに、YouTubeがより適切に対処する必要があることを認めた。火曜日に、米下院法務委員会に先立ってあった証言で、PichaiはPizzagateのような陰謀説や、最近のものではFrazzledripと呼ばれるヒラリー・クリントンにフォーカスした陰謀説を広める過激論者のコンテンツをYouTubeがいかにコントロールしているかについて質問を受けた。

月曜日Washington Postの記事によると、FrazzledripはPizzagateのバリエーションで、今年の春からYouTubeで広まり始めた

奇妙な質問が続く中、議員Jamie Raskin(民主党、メリーランド州選出)がPichaiにFrazzledripが何か知っているか尋ねた。

Pichaiは「それについてははっきりと認識していない」と答えた。

Raskinは続いて、YouTubeのリコメンデーション・エンジンが、政治家や有名人、他の主要な人物が“子供に性的虐待を往々にして悪魔の儀式として加えている”と主張するビデオを勧めている、と説明した。Raskinはこうした新たな陰謀の主張は、悪名高いPizzagate陰謀説をそっくり真似ている、と述べた。Pizzagateは2年前、民主党リーダーによって子供が性の奴隷として連れ去られたと信じ、その子どもを探すためにワシントンD.C.にあるピザ屋に男が侵入し発砲した事件だ。

Raskinはまた、新たなFrazzledripについても、YouTubeで展開されている激しい憎悪に満ちた陰謀説についてのWashington Post紙の報道を読み上げて詳細に説明した。この比較的新しい陰謀説は、ヒラリー・クリントンと彼女の長年の側近フーマ・アベディンが女の子に性的暴行を加え、その子の血を飲んだ、というものだ。

Washington Post紙は、ビデオクリップのいくつかは初めて4月にサイトに出た後に削除され、また正体を暴露されたが、この問題のレビューでこうした主張がまだ議論されている数十ものビデオが見つかった、と報道している。併せて、これらのビデオは過去8カ月で数百万回閲覧されている。また、調査により、YouTubeの検索ボックスに“HRC video”または “Frazzle”という言葉を入力するとこうしたビデオが特集されることも明らかになった。

YouTubeのポリシーは虚偽のアップロードを防いでいない、とWashington Postの報道は付け加えている。

RaskinはPichaiに極端論者のプロパガンダについて尋ねた。

「この点について、あなたの会社のポリシーはどうなっているのか。あなたはそれに対処しようとしているのか」と質問した。

Pichaiは、YouTubeがより適切に対処する必要があったことを本質的に認めた。

「我々は誤報に対処しようと常に努力している。我々はポリシーを明示していて、このエリアの多くの点に関してこれまでかなり改善を図ったーたとえばテロリズムや、子供の安全といったエリアだ」とPichaiは語り、「我々はこの取り組みをさらに進める」とした。

Frazzledrip説については、Pichaiは最近起こっていることだと話した。

「しかしこの件を追跡し、我々のポリシーに照らしてこれらを評価することに注力する」と約束した。

Frazzledripのようなビデオで問題なのは、極端論者のプロパガンダをどう扱うかが、YouTubeの現在のポリシーに完全に含まれていないということだ。Washington Postがまた指摘しているように、代わりにポリシーは、マイノリティーや他の保護されたグループをターゲットにした、憎悪に満ち、グラフィックで、暴力的なコンテンツを含むビデオにフォーカスしている。その一方で、広がるかもしれない偽情報や暴力につながる可能性があるにもかかわらず、YouTubeはサイトにコンテンツをアップロードする人に言論の自由を認めることを模索している。

言論の自由とコンテンツポリシーのバランスはデリケートな問題だーそして危険な人物に影響を及ぼすYouTubeのパワーを考えた時、それは非常に重要なものだ。Pizzagate襲撃犯に加え、他の例として10月にピッツバーグのシナゴーグで11人を殺害した銃乱射犯はYouTubeでネオナチのプロパガンダを視聴していた、とWashington Postは報道で指摘している。

YouTubeはこの件に関して何をしてきたのかと尋ねられたPichaiは具体的には答えなかった。

その代わりCEOは、扱うコンテンツのボリュームが多いために各ビデオを調査するのにYouTubeが苦慮していることを認めた。

「我々は1分あたり約400時間のビデオを受け取っている。しかし私が思うに、YouTubeが表現の自由のためのプラットフォームであるようにするのは我々の責任だろう。しかし、社会にポジティブに責任を持ち、貢献している」とPichaiは語った。彼はまた、“害や憎悪、暴力を扇動するような”ビデオをポリシーで除外することができる、とも付け加えた。しかし、陰謀説ビデオは必ずしも直接暴力を扇動するものではないーそうしたビデオは個人を先鋭化させ、結果としてそうした個人がときに暴力行為に出る。

「これは、我々がより取り組まなければならないと認識しているエリアだ。そして我々は必ず継続して取り組む」とPichaiは言った。「しかし私はやるべきことが多くあると言っておきたい。我々の成長にはより多くの責任を伴う。我々はこのエリアにより多くの投資をしていて、これまでよりうまく対応できると確信している」と述べた。

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(翻訳:Mizoguchi)