Googleは元Oracle幹部だったThomas Kurianに、クラウドビジネスの舵取りを託す

Diane Greeneは金曜日に、3年にわたって務めてきたGoogleのクラウドビジネスの責任者の地位を辞することを発表した。彼女の後継者であるThomas Kurianへの引き継ぎを助けるために、彼女は来年の頭までは留まる予定だ。KurianはOracleを9月の末に辞任しているが、Oracleには20年以上在籍していた。彼の責務はGoogleのクラウド部門をより企業向けなものにすることである。この目標へはこれまで同社はあまり上手く近付けていなかった。

Greeneは、Googleのクラウドビジネスに安定と企業向けの体質をもたらすために、2015年に着任した。彼女はその道筋にそった計画を押し進め、クラウドビジネスを成長させたが、結局十分な成果を挙げることができなかったのだ。Greeneが辞任を決める迄には、何ヶ月にも渡って、様々な不満が積み上げられて来ていた。

そのため、そのバトンが、Googleとはおそらく正反対性質の企業で20年以上を過ごしたKurianに渡されようとしているのだ。彼は、従来型の企業向けソフトウェア会社であるOracleで製品を担当していた。Oracle自身もまたクラウド企業に移行するために苦労してきた、しかし9月にブルームバーグがレポートしていたように、その当時Kuranが休暇をとっていた理由の1つは、Larry Ellison議長とのクラウド戦略上での意見の相違があったせいである。そのレポートによれば、KurianはAWSやAzure(そしてGoogle Cloud)といったパブリッククラウド上で、Oracleのソフトウェアを利用できるようにしたいと考えていたようだ。どうやらEllisonはそれに同意せず、その数週間後にKkurianは辞任を発表した。

Kurianのバックグラウンドは、Googleと完璧にマッチするものだとは見えないかも知れないが、彼の考えが進んでいたことは心に留めておくことが大切だ。また彼は数多くの製品を担当し、大切なOracleのクラウドへの移行を支援していた。彼は企業たちが望んでいる製品を上手に育成した経験があり、それこそが次のクラウドリーダーに対してGoogleが探していた知見なのかもしれない。

Constellation Researchの創業者兼主席アナリストのRay Wangによれば、Googleは企業支援についてまだまだ多くのことを学ばなければならない。そして彼はKurianがGoogleにそうした学びを行わせるための正しい人物だと信じているのだ。「Kurianは、クラウド会社が企業ユーザーたちにとって役立つためには、何が必要とされているかを知っています」とWangは語った。

もし彼が正しいとすれば、従来型の企業の幹部こそ、Googleがそのクラウド部門を企業向けの強固な組織に転換させるために求めていた人物だ。Greeneはずっと、クラウドとしてはまだ初期段階であり、Googleが未開拓の市場の一部を切り取るための時間ははまだ残されていると主張してきた。このことは金曜日の彼女のブログでも繰り返されたポイントだ。「クラウドの世界はまだ初期段階で、先々には巨大なチャンスが残されています」と彼女は書いている。

その点について、彼女は正しいのかもしれない。しかしマーケットシェアの位置付けは厳しさを増しているように見える。市場のトップを走るAWSは、大方の予測では、30%以上という巨大なマーケットシェアを握っている。Microsoftは現時点でAmazonに市場での強さで張り合える唯一の企業であり、Amazon以外で唯一の2桁の市場シェアを持つ企業でもある。事実として、Synergy Researchのデータによれば、Amazonは後続の4社を合わせたものよりも大きなマーケットシェアを握っている。

GoogleはAWSやMicrosoftと並んで、3大クラウド企業とは呼ばれているものの、およそ40億ドルの年間収益では、他の企業と同等のレベルに追いつくにはまだまだ時間が必要である。Greeneの主張にもかかわらず、勝つための時間は失われつつあるのかもしれない。おそらくKurianは、企業たちがより多くの作業負荷をクラウドに移行していく中で、未開拓の市場を手に入れる方向へGoogleを推し進める人物となるだろう。現時点では、Googleは彼がただそれを成し遂げることを期待しているのだ。

画像クレジット: Bloomberg
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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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