GoogleはiOSのデフォールト検索エンジンにしてもらう見返りに来年Appleに10億ドルを支払う見込み

Mobile Safari

AppleとGoogleは敵であり同時に提携相手でもある。このネジレ現象の原因は両社のビジネスモデルがある部分で競合し、ある部分で補完的だという点にある。

先週金曜日にモーガン・スタンレーが発表したレポートによると、GoogleはiOSのデフォールトの検索エンジンに設定してもらう見返りとして2014年に10億ドル以上をAppleに支払うことになる見込みだという。

2009年にGoogleが支払ったのは8200万ドルに過ぎなかったのだから急拡大ぶりがわかる。レポートを執筆したアナリストのScott Devittは「iOS搭載デバイスの台数に比例する契約なので爆発的に成長したのだろう」と考えている。

「次のGoogleはGoogle自身だ(The Next Google Is Google)」と題されたこのレポートに掲載された表(下にエンベッド)によると、検索トラフィック獲得に要する費用はおおむねiOS搭載デバイスの販売台数に比例する傾向が見られる。また単価も若干上昇気味で、1台あたり昨年は3.2ドルだったが、今年は3.3ドル、来年は3.5ドルになるものと推定されている。つまりiOSデバイスの販売が今後も拡大していくならトラフィック獲得コストもゆるやかに上昇していくことになる。

これを他のトラフィック獲得先と比較してみると、Mozilla財団は2014年にGoogleから4億ドルを受け取る見込みだ。Mozillaのレポートによれば、Googleは依然としてMozillaの最大の収入源である。Operaブラウザも長年のパートナーだが、モーガン・スタンレーは金額を明らかにしていない。

MicrosoftがBingをデフォールトの検索エンジンにしようと激しく売り込みを図る一方で、AppleはGoogleをデフォールトの検索エンジンに選び、多額の収入を得てきた。MicrosoftはBingはNokiaとBlackBerryのデフォールトの検索エンジンとなることに成功している。多額の収入が得られることは重要だが、Appleは将来はあらゆる面でGoogle抜きのiPhoneを売る方向に進みたいと考えている。

だがAppleとしても10億ドルはバカにできない金額だ。毎年、簡単かつ確実にこれほど大金を稼いでくれる収入源は他には簡単にみつからない。一方、GoogleはiOSユーザーから上がる広告収入以上の金をAppleに払っていると見られる。iOSのユーザーデータはこの上なく貴重なものだ。しかしGoogleの最近の四半期の利益が29億ドルということを考えると、Googleにとっても10億ドルの支出は無視できない大きさだろう。

スマートフォン市場は急速に変化している。すでにSamsungがトップ・メーカーの座を占めた。AppleとGoogleの提携の重要性は近く減少に転じるだろう。 Googleは市場の変化を注意深く観察し、そのときが来たと感じれば提携を破棄するか、Googleにとって有利な契約内容への更新を試みるに違いない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+