Googleマップが宅配サービス向けにライドシェアリングとナビのAPIを提供、個人店の参入も容易に

Googleマップの開発グループ、Google Maps Platformオンデマンドの料理などの宅配サービス向け機能を発表(Google Cloudリリース)した。これは既存のナビ機能に加えて、レストランなどの付近にいる配達可能なドライバーを探す。また料理を注文した消費者に、配達の進行状況を表示する。

Google Maps Platformが、サードパーティのオンデマンドサービスのためにナビ機能を提供するのはこれが初めてではない。2018年にはライドシェアリングのアプリ内にGoogleマップによるナビゲーションを提供している。ただしこのときGoogle(グーグル)は料理などの宅配サービスには注目していなかった。しかし新型コロナウイルスのパンデミックによって多数の産業が深刻なダメージを受ける中、料理宅配は数少ない成長産業の1つだ。

「世界のマップの製作と運用において、私たちは15年間の経験を持っています。このプラットフォーム上にオンデマンドのライドシェアによる料理宅配サービス向けシステムを統合しました。予約から配達までの一連の流れがスムーズになり、フード提供ビジネスのオペレーションを効率化するだけでなく、ドライバーや消費者にとっても大きなメリットがあります。料理の到着する時間や配達料金もわかりやすくなります」と グーグルの上級プロダクトマネージャーのEli Danziger(エリ・ダンジガー)氏は声明で述べた。

Googleマップの開発チームはコアとなるナビゲーションシステムをカスタマイズし、自転車やオートバイによる料理の配達に特化させた。これにより最短ないし最短時間で配達ができるルートが簡単にわかる。いわゆる「最適のルート」機能では配達にかかる時間が重要になる場合、到着時間と料金の予測ができる。

もう1つの重要な新機能は、ユーザーが付近で利用可能なドライバーを見つけるシステムを開発者が簡単に作れることだ。このシステムには「Nearby Drivers(付近のドライバー)」という当たり前すぎる名前つけられている。名前の通りいちばん近くにいるドライバーを見つける機能だが、デベロッパーはAPIコールを一度使うだけで実現できる。そのドライバーの特技や希望などをベースにランキングを作り、適切なドライバーを選択できるようにしている。

当然アプリ内でのナビゲーションをサポートしており、これが機能の中心となって他の機能が統合されている。

また開発者は、注文者に対してリアルタイムで配達の進行状況を表示するようにできる。「注文者は料理のピックアップから玄関に配達されるまでの状況を確認できる。ドライバーが選択した経路、現在位置、到着予定がリアルタイムで表示される」ということだ。

もちろんこうした機能はライドシェアリングや料理の宅配サービスのアプリには当然求められる機能であり、それ自身としては珍しいものではない。しかしこれを実現するためのテクノロジーとなると話は別だ。大手フードチェーンや宅配専門企業では、この機能を実現するために大規模な投資を行ってきた。そのためこうした企業がGoogleのサービスにいますぐ乗り換えるということは考えにくい。しかし自前でこうしたシステムを構築する余裕のない中小企業や近隣のスモールビジネスにとっては多額の費用をかけてシステムをゼロから構築したり多数の高価なサービスを購入したりすることなく、既存のオペレーションを効率化できる。またスタートアップが料理の宅配サービスというマーケットに参入するためのチャンスとなるだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle Maps

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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