Googleマップに間もなく新機能、急ブレーキを避ける経路案内や地域ごとの混雑度表示など

Google(グーグル)は、そのプラットフォームにAIを活用した100以上の改良を年末までに行うという大きな目標の一環として、Google マップに導入が予定されているいくつかのアップデートを明らかにした。米国時間5月18日に開催された開発者会議「Google I/O」で発表された新機能は、経路検索の改善、ライブビューの強化、高精細ストリートマップの拡大、混雑エリアの可視化、よりパーソナライズされたマップ体験などだ。

新たに改善された経路検索では、機械学習とナビゲーション情報を利用して、なるべく急ブレーキを踏まなければならない状況が少なくなりそうな経路を案内するようになる。急に交通の流れが遅くなる可能性のある場所は避けるように考慮されるというわけだ。

現在、Googleはマップで経路案内をする際に、道路の車線数や曲がる箇所の回数など、様々な要素に基づいて複数のルートを算出している。今回のアップデートでは、「急ブレーキを踏む」可能性が最も低いルートがそれらに加わる。Googleによると、他の経路と比べて到着予定時間が同じか、あまり差がない場合、急ブレーキを踏む可能性が最も少ないルートを推奨するようになるという。この変更により、Google マップを利用して走行する経路では、急ブレーキを踏む回数が年間1億回も減ると同社は見込んでいる。

2019年に導入されたGoogleマップの拡張現実機能「ライブビュー」は、間もなくマップのボタンから直接利用できるようになり、即座に近隣の情報を調べたり、近くのショップやレストランの混雑状況や最近のレビュー、写真などの詳細情報を確認できるようになる。また、複雑な交差点には道路標識が表示されるようにアップデートされ、旅先では滞在しているホテル等の場所と自分の位置関係を教えてくれるので、慣れない土地でも帰り道がわかりやすくなる。

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画像クレジット:Google

Googleは2020年に、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンで初めて提供したより詳細な地図を、他の都市にも拡大していく。これらの地図はより精細で、自然の特徴が色分けで示され、歩道や横断歩道、歩行者用の安全地帯などの有無や位置まで表示される。これらの情報は、街を徒歩や自転車、あるいは車椅子などで移動する人にとって特に有用だ。

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2021年末までには、ベルリン、サンパウロ、シアトル、シンガポールなど、さらに50の都市でこの詳細な地図が利用できるようになる予定だ。

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もう1つの新機能は、既にGoogleがマップの店舗情報で提供している、ユーザーから収集された匿名化された位置情報に基づく「混雑状況」の表示を拡張するものだ。新型コロナウイルス流行時には、この機能が、健康と安全のために店舗内での混雑を避ける有効な手段となった。今回のアップデートで、Google マップは街の一部や地域について、相対的な「混雑度」情報が表示されるようになる。これによって、ストリートフェスティバルやファーマーズマーケット、ナイトスポットなどの混雑している場所を避ける(あるいは見つける)のに役立つ。

さらにGoogle マップは、新たな方法で個人に合わせたインターフェイスのカスタマイズを開始する。

まず、ユーザーの現在の時間帯に応じて適切な情報が表示されるようになる。

例えば、平日の午前8時にマップを開くとコーヒーショップが目立つように表示されるが、夜になるとディナースポットが多く表示されるといった具合だ。郊外に出かけている時には、これらの店舗に代わってランドマークや観光地が表示されるようになる。同じ種類の場所をもっと探したいと思ったら、どれか1つをタップすれば、近くにあるそれと同じ種類の場所を見ることができる。

画像クレジット:Google

Googleによると、これらの新機能は今後数カ月のうちにiOSとAndroidでグローバルに展開する予定だというが、各機能の正確な導入時期については言及していない。ただし、より詳細な地図は年末までに提供されるとのことだから、他のアップデートよりも少々遅くなるのかもしれない。

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カテゴリー:ソフトウェア
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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