Google CloudがBigQuery Omniの一般提供を開始

Google(グーグル)は2020年夏にAnthosベースのマルチクラウドデータ分析ソリューションであるBigQuery Omniを初めて公開した。米国時間10月12日、毎年恒例のCloud Nextイベントで同社はBigQuery Omniの一般提供を開始したと発表した。Omniの特徴は、標準的なBigQueryのインターフェイスを使ってMicrosoft(マイクロソフト)のAzureやAWSなど他のクラウドにあるデータのクエリを実行できることだ。クラウド間でデータを移動する必要はない。

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Googleのデータベース、アナリティクス、Looker担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのGerrit Kazmaier(ゲリット・カッツマイヤー)氏は筆者に対し次のように語った。「データサイロは良くないと誰もがわかっていますが、あちこちのクラウドにデータサイロを作っているのが今の現実です。データサイロの新しい世代となり、世界の企業の多くがマルチクラウドの現実に生きていることを我々は認識しています。我々はマルチクラウドを横断するクロスクラウド分析の可能性をBigQuery Omniで提供しています。クロスクラウド分析は究極にシンプルな方法です。データの移動や、管理上の反復や冗長性を考える必要がなくなるからです。1つにまとめられたインターフェイスと1つの処理フレームワークとして、基本的にはBigQueryを採用して他のクラウドの多くの部分で利用できるようにした、エンジニアリングのすばらしい成果です」。

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Google Cloudの顧客の多くがすでにこの機能を利用している。カッツマイヤー氏は、Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)がこの機能を使ってGoogle CloudにあるデータをAWSのS3にあるデータと組み合わせたり、Electronic Arts(エレクトロニック・アーツ)がゲーム内購入の広告データを組み合わせたりしている事例を挙げた。

データサイロに関しては、Googleは現在はプレビューであるDataplexも2021年中に一般公開になると発表した。Dataplexは企業が複数のデータレイクやデータウェアハウスにまたがるデータの管理、監視、運用をするためのツールだ。

米国時間10月12日にGoogle Cloudが発表した多くの内容と同様に、BigQuery OmniとDataplexもほとんどの企業がマルチクラウド環境で運営されていることを認めた上でのもので、つまり有益なデータが複数のシステムに分かれているのがデフォルトである。複数のシステムにわたるデータの管理は面倒でエラーが発生しやすいが、最も重要なのはデータを1つのシステムにまとめるのが難しい(そしてたいていお金がかかる)ということだ。Googleは同社のサービスをさまざまなクラウドに広げてGCPから管理するアプローチをとっている。これはAnthosでKubernetesのクラスタを管理するアプローチであり、GCPの中心的なサービスの一部を同社のクラウド以外でも実行できるようにしたということになる。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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