Google CloudのBigQuery OmniでGCPとAWSとAzureのデータをクエリできる

米国時間7月14日、Google(グーグル)はオンラインで開催されたGoogle Cloud Next ’20で、同社のクラウドポートフォリオの数々のアップデートを発表したが、今年のこのイベントのハイライトはBigQuery Omniのアルファローンチだろう。グーグルのハイブリッドクラウドプラットフォームであるAnthos(未訳記事)で動くBigQuery Omniにより開発者は、BigQueryエンジンを使って複数のクラウドにあるデータを分析できる。それにはGoogle Cloudと競合するAWSやMicrosoft Azureも含まれるが、当面サポートするのはAWSのみでAzureのサポートは後になる。

単一のインターフェイスを使うため、データセットをプラットフォーム間で移動せずに、データをローカルに分析できる。

Google Cloudのデータ分析技術担当ゼネラルマネージャー兼副社長であるDebanjan Saha(デバンジャン・サハ)「私たちのユーザーは数ペタバイトもの情報をBigQueryに保存しており、またそれが安全で保護されていることも知っている。しかしユーザーがBigQueryで行うデータ分析は極めて多様だ。例えば機械学習を組み込んだリアルタイム分析と予測分析をしているユーザーもいる。……GCPの中でBigQueryを使うことに大変満足しているユーザーから『BigQueryを他のクラウドにも広げて使いたいけど、どうやればいいんだい?』と尋ねられることが多くなっている」と説明する。

画像クレジット:Google

グーグルはかなり前から、未来はマルチクラウドにあるといっている。これには競合他社も賛成すると思う。しかしツールは、データが他のクラウドにあったり別のところで生成されたものであっても、自分たちのツールを使って欲しい。企業がそれらすべてのデータを利用できるようにするためには、結局のところ、そのためのツールとサービスが必要だ。しかもベンダーは、互いの差別化を重視している。そのため、データ分析の専門的技術を抱えるGoogle CloudはBigQueryをマルチクラウド化したい。「BigQuery Omniがあれば、ユーザーは自分がやりたいことができる。彼らはデータ分析したいのだが、そのデータは1カ所にまとまっていない。しかしBigQuery Omniなら、今日かでもすぐに、データがどこにあっても分析することができる」とサハ氏はいう。

画像クレジット:Google

サハ氏によると、Google Cloudが考えているのはこれによってエンタープライズは、複数のデータサイロに分散しているデータでも分析でき、自分のデータから新たなインサイトを得られるようになることだ。しかもそのために開発者やアナリストが使うのは、標準的なSQLのインターフェイスだけだ。

また本日の発表は、Anthosへのグーグルの賭けが実ってきたことの1つの例でもある。顧客がマルチクラウドのデプロイメントを容易に管理できるようになっただけでなく、グーグル自身も自分のプロダクトのリーチを、複数のクラウドにまたがって拡張した。そしてBigQuery OmniがAzureで使えないのは、Anthos for Azureがまだプレビューだからだ。一方、AWSのサポートは4月に一般公開された(未訳記事)。

関連記事:Google Cloudがオンメモリ暗号化のConfidential VMをローンチ

画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images / Getty Images

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。