Google I/O:デザインでもAppleに対抗へ―ユニバーサル・デザイン言語、Material Design発表

Googleは昨日(米国時間6/26)のGoogle I/Oカンファレンスで、Material Designという新しいユニバーサル・デザイン言語を発表した。これは次世代のAndroid OS、“L”シリーズの重要な部分となる。Googleによれば、このデザインは「モバイル、タブレット、デスクトップ、そしてそれ以上」のデバイスに統一的なルックアンドフィールを与えるという。

「われわれは、ピクセルが色だけでなく奥行きも持っていたらどうなるか想像してみた。また状況に応じてテクスチャーを変えられるような素材があったらどうだろうと考えてみた。これがMaterial Designを開発するきっかけになった」とAndroid OSのユーザー体験の責任者、Matias Durateは語った。

新デザインにはシステムフォント、Robotoのアップデート版、大胆なカラースキーム、滑らかなアニメーションなども含まれている。

DurateはI/Oキーノートで概要を説明したが、詳細はgoogle.com/designで公開されている。Googleのプラットフォームで開発を行うデベロッパーはすべてこのフレームワークを利用することを求められる。これによってアプリは作動するデバイスを問わずすべて統一感のあるルックアンドフィールを持つことになる。この役割はAppleがMacとiOSのデベロッパーに課しているガイドラインに似ている。

Google自身が率先してこの新デザインを用い、モバイルとデスクトップの双方でGmailやカレンダーなどフラグシップ・アプリのアップデートに取り組んでいる。先月、Gmaiの開発中の新デザインが一部のブログでリークされたことを覚えている読者もいるだろう。シンプルでクリアなあのデザインがMaterial Designを用いたものだった。

オープンソースのフレームワーク、Polymer去年のGoogle I/Oで登場したが、今回もデベロッパーがMaterial Designと共に利用すべきツールとして紹介された。Polymerは 対話性に優れたウェブサイトを素早く構築できるプロトタイピング・ツールで、カスタマイズ可能なさまざまなエレメントがライブラリーとして用意されている。GoogleがQuantum Paperというコードネームで準備している包括的なデザインのアップデートについてはわれわれもこの記事で詳しく紹介している。

Google Designのウェブサイトによれば、Material Designの目的は以下のようなものだ。

  • 古典的なビジュアルなグッドデザインとテクノロジーのイノベーションを統合する
  • プラットフォームの種類、デバイスのサイズにかかわらず統一的なUIシステムを構築する。モバイル対応はもっとも重要な要素だが、タッチ、音声、マウス、キーボードなども主要入力手段して包含される。

Googleは新デザイン「紙とインクのデザインの優れた前例を参考としながら最新のテクノロジーを応用し、想像力を働かせて魔法に近づける」ものだとしている。

Material Designの各要素は「印刷ベースのタイポグラフィーの伝統に従い、慎重に計算されたカラースキーム、画面をいっぱいの裁ち落としの画像、多様なフォント、意図的に残された空白などを用い、ユーザーに強い印象を与える没入的な視覚インターフェイスを構築する」のだという。

もう一つの重要な要素はアニメーションだが、Googleはその利用にあたっては、「アニメーションは適切な場面ではっきりした意味を持つように用いられ、ユーザーの注意を引きつけ、ストーリーの連続性を確保するために役立てられる」べきだとしている。

Appleは以前からデベロッパーに対して厳格なデザインガイドラインを課し、消費者にAppleは優れたデザインを提供するというイメージを強く植え付けるのに成功している。今後GoogleはAppleとデザインの品質でも競争していこうとするのだろう。

Appleは逆にクラウドなどGoogleの優勢な分野の強化を図っている。情報源によればGoogleは自分たちのインフラ面での優勢よりAppleのデザイン面での優勢の方が大きいのではないかと考えてこうしたAppleの動きに神経を尖らせているという。Material DesignでGoogleがデザインの抜本的改良に乗り出した背景にはこういう事情もありそうだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+