Google Playの手数料が30%から15%に値下げ、2020年のAppleに倣って

Googleによると、同社の人気ストアであるGoogle Playにおけるアプリ内デジタルグッズやサービスを販売する開発者に対して、ライバルであるAppleの2020年後半の動きに倣い、その手数料を全世界で引き下げるという。

AndroidのメーカーであるGoogleは米国時間3月16日、開発者がGoogle Playの課金システムで毎年火星だ最初の100万ドル(約1億1000万円)については、2021年7月1日から手数料を従来の30%から15%に下げると発表した。つまり同社は、開発者が1年間にGoogle Playにおける収益の100万ドルを超える部分に関しては30%の手数料を徴収する。

関連記事:AppleがApp Store手数料率を15%に削減、年間収益約1億円以内の小規模事業者対象

Googleは自社の試算を引用して、Playで商品やサービスを販売する開発者の99%は手数料が50%引き下げられることになるという。また、全世界のアプリの97%はデジタルグッズを販売しておらず、サービス料金を支払っていないと述べている。

Googleのやり方はAppleとやや異なる。2020年、Appleは同社のプラットフォームで売上が100万ドルを超えていない企業からは30%でなく15%を徴収すると発表した。Appleのプラットフォーム上の売上が100万ドルを超える開発者には、低料率が適用されない。

GoogleのAndroidとGoogle Play担当副社長であるSameer Samat(サミアー・サマット)氏はブログで「年間200万ドル(約2億2000万円)、500万ドル(約5億5000万円)さらには1000万ドル(約10億9000万円)を稼ぐパートナーから、彼らのサービスはまだ自立軌道に乗っていないと聞いた」と述べている。

「我々が『総売上』ではなく、その大きさに関わりなく手数料値下げの対象を『売上のうち100万ドルまで』にしたのはそのためだ。これは、すべてのデベロッパーの成功を支援するというGoogleのミッションに適った公正なやり方だと信じている」。

この決定の数カ月前、Googleの課金方式の変更がインドでスタートアップたちの騒動を引き起こした。2020年にGoogleが、Androidアプリにおける特定のアプリ内購入にはその代金の30%を徴収すると発表し、150社あまりのスタートアップが共同で反意を表明している。

関連記事:インドのスタートアップが集結しグーグルの「独占」に対抗するアプリストアを計画

Googleはこの反発を受けて、インドにおけるPlay Storeの決済ルールの変更を2022年4月に遅らせ、また情報筋によるとGoogleはここ数カ月で、数社の開発者から彼らの不満や懸念の聞き取り調査を行ったという。

インドで評価額が最も高いスタートアップのモバイル決済サービスPaytmの創業者でCEOのVijay Shekhar Sharma(ヴィジャイ・シェカール・シャルマ)氏は、今回のGoogle発表を「PRのための曲芸」と無視する。

TechCrunchのインタビューでシャルマ氏は、企業の開発者は現在でも、Googleに法外な額の手数料を払っていると述べた。そして、Googleには、本格的なインターネット企業が抱く疑問に答える気はあるのかと疑問を呈した。なおPaytmのアプリは、Play Storeの課金システムを使ったデジタルグッズの販売を行っていない。

彼によると、今日の企業が直面している最大の懸念は、アプリ内からの決済にサードパーティーの決済サービスを使えないことだ。「彼らが言うのは、100万ドルというとても低いバーを超えたら30%の手数料を払えということだ。課税後には44%になる」とシャルマ氏はいう。Paytmアプリは、インドではGoogle Payと競合している。

売上の30%カットと、サードパーティーの課金徴収システムを利用できないことが、多くの開発者とAppleやGoogleといったアプリストアの運営者との間の争点だ。「Fortnite」を開発するEpic GamesとiPhoneのメーカーとの2020年の例のように、訴訟に発展することもある。Epic GamesのCEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏によると、Appleが小規模な開発者のためにApp Storeが行った料金の引き下げは、アプリ製作者たちの間に分裂を起こすために仕組まれたものだという。

関連記事
Fortniteを削除されたEpic Gamesが反アップルキャンペーンを全力展開、提訴も準備
アプリメーカーがApp Storeの規約変更に向けて一丸で闘う「Coalition for App Fairness」が発足

「Googleのアプリ税減税は、開発者の肩の荷を少しだけ減らすかもしれないが、問題の根っこを放置している。15%でも30%でも、Gooble Playから入手するアプリは、開発者がGoogleのアプリ内決済サービスを使うよう強制される。Androidは、もっと完全にオープンに競合すべきであり、プラットフォーム企業とアプリのクリエイターとサービスのプロバイダーの全員が、本当にフラットな球技場でプレイすべきだ。公正なアプリのマーケットプレイスを実現するためには、決済方法とアプリの流通方式に競争があることが絶対条件だ」とEpic Gamesの声明で述べている。

シャルマ氏によると、インドのような途上国では、Googleはその他の配慮も必要だという。「我々には、オペレーティングシステムや流通プラットフォームの選択肢がない。このような国では、Googleといった少数の大企業がアプリ開発者の命運を握る」。

調査会社Counterpointによると、インドではAndroidがスマートフォン市場の90%を支配している。シャルマ氏「最初、インドはAndroidで動いていた。次に我々はAndroidに依存するようになった。そして今では、Androidにコントロールされている」という。

Googleのサマット氏は「私たちは、Android上の企業が今よりもっと大きくなり、インドの開発者コミュニティとの議論を深められ、技術と経営が一体となって、新たに企業を作るときの技術的および経済的な支援ができるようにしたい」と語る。

「対象となるアカウントなど、私たちの助けになる基本的な情報を提供してもらえれば、私たちは確実に15%を正しく適用し、そのディスカウントは1年ごとに更新される」とサマット氏はいう。Appleの場合も、手数料率の引き下げは開発者からの申請が必要となる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google

画像クレジット:Lyu Liang/VCG/Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。