Graphic Indiaは自国インドでデジタルコミックを根付かせられるか


Graphic Indiaは、バンガロールに拠点を置くデジタルメディア企業で、今回280万米ドルの資金調達を行った。この企業は、インドとインド文化を代表するコミックやアニメビジネスを展開することを目標としている。

今回の資金調達を牽引したのは、アジア市場に特化したCA Mediaを傘下に持つThe Chernin Groupだ。他には、ニューヨークに拠点を置くStart Media やゲーム会社のBackflip Studiosを創業したJulian FarriorとDale Thomsを含めたエンジェル投資家が出資した。Graphic Indiaは、昨年のシードラウンドで250万米ドルをCA Mediaより出資を受けている。

インドのコミックやスーパーヒーローは、私たちにとってあまり馴染みのないものだ。このスタートアップはその状況を一変させようと、アメリカのホールディングス企業Liquid Comicsの傘下の元、2013年に立ち上がった。

Liquid ComicsとGraphic IndiaのCEOと共同創業者を務めるSharad Devarajanは、TechCrunchのインタビューで、今回のラウンドで得た資金は、コンテンツの創出とGraphic Indiaの所有するコミック、アニメ、映画などを広めるためのデジタルプラットフォームの開発に当てると話した。

「モバイルは、オーディエンスと直接つながり、ファンを作るチャンスです。インドコミックのファン層を構築します。5億5000万人にいるインドの25歳以下の人たちは、このようなつながりの持てるコンテンツに触れる機会は今までなかったのです」とDevarajanは言った。

このスタートアップはこれまで、コンテンツのカタログを作ること、そしてコンテンツの配信を行うサードパーティーを獲得することに多くの時間とリソースを費やしてきた。例えば、Rovioとの提携、インドのCartoon Networkとの配信契約、そして10の映画の上映権の取得などだ。その他にも、有名なコミック作家のStan LeeやバットマンのライターのGrant Morrisonを迎え、コンテンツを提供している。

Graphic Indiaが自国における才能を磨いて開花させるために、LeeやMorrisonは彼らのノウハウを提供することに賛同した。他にも世界的に有名な作家が賛同している。アメリカで生まれたDevarajanは、Virgin ComicsをRichard Bransonと創業したこの業界のベテランである。彼はVirgin Comicsをバイアウトした後、名称をLiquidに変更し事業を続けていた。著名な作家との連携から得られる知識と、ファウンダーチームのアメリカ中に持つ広いネットワークを組み合わせることで、Graphic Indiaが作り上げるコンテンツは、アメリカのコンテンツと遜色ない品質であるとDevarajanは言った。

「クオリティーは今までインドでは見られなかったものになっています。これらの見せ方、作り方、届け方、どれも世界で通用すると思います」と彼は言った。

これまで、Graphic IndiaはAmazon(グローバル対応とインド国内向けサービスの両方)とインド国内の大手小売りサービスFlipkartでコミックを販売してきた。それに加え、テレビでの放映は、コンテンツの品質が良く、インドを含めた世界中のメンスストリームの対象者に広く受け入れられることを示し、業界内の評判を高めてきた。次に彼らが目指すのは、自社と直結するオーディエンスの構築である。

Davarajanは、コンテンツを集約するプラットフォームを開発したVice、Rovioを含む開発陣に賛辞を送った。このプラットフォームは、Graphic Indiaの目標を達成するのに無くてはならないものだからだ。

「次のマーベルになるために私たちはデジタルにフォーカスします」と彼は説明した。「モバイルの台頭により、コンテンツのクリエーターはサードパーティに依存しなくてもよくなりました」。

Graphic Indiaのモバイルプラットフォームは、複数の要素で構成される。既にYouTubeでの存在感を強めているが、アプリにはユーザーが作品にのめりこめるように、電子書籍や動画コンテンツも組み込めるようにする。モバイルによる配信はAndriodから始めるとDevarajanは言った。これは、Andriodの方がインドでより多くのユーザーにリーチできるからだと説明した。

また、Facebook経由でのファンを獲得するため、コミックやアニメ専用のFacebookアプリを開発する予定であると話した。これとモバイルでの施策により、自社と直接紐づくファン層を構築することができる。

「来年の今頃までには、月ベースで100万人の熱烈なファンが訪れるような、確固たる立ち位置を築きたい」とDevarajanは話した。これを達成することで、コンテンツをマネタイズするビジネスモデルを試すことができると説明した。

「今はまだスタートアップの段階で、早急に利益の上がる会社にしたいということではありません」とDevarajanは続けた。目標は インドでのモバイルの急速な普及 に伴うチャンスをつかみ、Graphic Indiaを主軸として、コミックファンを獲得し、コミュニティーを構築していくことだと語った。

「インドにはたくさんの面白い物語や作品があるのですが、それらが花開くには外部の力を借りる必要がありました。インドのどこかにいる次のJK RowlingやStan Leeを見つけ出し、ティンカーベルの塗り絵に色を塗るに留まらず、クリエイティビティを発揮するきっかけになればと思っています」と彼は言った。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook


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TechCrunch Japan

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