HortonworksのIPOは、IT市場を占うテストケース


果たして公開市場は損失を広げている会社を歓迎するか?Hadoopベンダー、 Hortonworksがもうすぐその答を出そうとしている。

本日(米国時間12/1)同社はIPO価格を決定し、1株当たり12~14ドルで売ると発表した。早期の分析記事によると、提示価格の中間値から算出した同社の評価額は6.59億ドルになる。

TechCrunchが報じたように、その評価額は、同社が以前1億ドルの資金を調達した際の10億ドルよりも低い。同社がこのIPOで、提示価格範囲で調達できる金額は、直近の調達ラウンドよりも少なくなる計算になる。

言い換えれば、Hortonworksは上場にあたって自分を安売りしている。少なくとも今は。S-1文書には、1億ドル集めたい旨が書かれている。その額に達するためには、ざっと見積もっても、HortonworksはIPO向けの1株当たり株価を高くする必要があるだろう。そうすれば集まる金が増え、会社の価値も高まる。

Boxが上場申請した時、その損失に対する懸念は急速な収益成長への興味を上回った。同社が少々その反応に驚いていたことはTechCrunchが最近報じた。どちらの方が正しいかはともかく、BoxはIPOを延期し、先へ進むために再度民間市場から資金を調達した。

今年もっとうまくいったIPOの挑戦もある。Arista Networks等の黒字企業は、成功している。Zendeskは控え目な価格を提示して、以来好調を続けている。MobileIronは、IPO価格前後を行き来した後現在はデビュー時より安値で取引きされている。

上場を控えたのはBoxだけではない。Good Technologyもブレーキを踏んだ。同社は安定した売上成長を見せていたが、大きい損失が続き、待つ決心をした。どちらのケースについても、延期が自由意志によるものかどうかは読者の判断に任せる。

これらがみな水泡に帰しても私は驚かない。妙な話だが、現在のIPO市場はやや保守的だと私は言いたい。上場には2つのことが必要のようだ。売上の急成長と、損失の減少または利益の拡大だ。ここでGAAPか非GAAPかの議論は必要ない。話はそこまで厳密ではない。

HortonworksのIPOが興味深いのは、この会社が上に挙げた上場を棚上げした会社と似ていることだ。売上は伸びているが、それに対する損失の問題は、長期的利益率への圧力を意味している。以前の本誌記事を引用する:

2013年1~9月に、同社の売上は3338万ドルで、前年同期間の1593万ドルから109.5%増えた。サポート定期契約売上は、やや成長が遅く94.97%増だった。専門家向けサービスの売上はさらに急成長した。

一方、同社は損失も大きく拡大している。今年最初の9ヵ月の損失は8673万ドルで、前年同期の4840万ドルから79.19%増えた。これは、Hortonworksの売上が、損失よりも大きいパーセンテージで伸びていることを示している。

ここで見るべきポイントがいくつかある。第1に、Hortonworksは、上に挙げた2つのルールに外れ、損失の減少が達成できていなくてもIPOを実施できるのか。第2に、同社が提示価格を上げ、市場要求の強さを示すのか否かだ。

要するに、われわれはHortonworksのIPOを、現在の市場が欲求と関心に関してどんな状態にあるかを知る指標に使えるということだ。それはわれわれが、Good、Boxその他、上場に踏み切るかどうかの瀬戸際にいる会社の可能性を探るのに役立つ。

最終的な指標は、もちろん、HortonworksのIPOデーだ。もし彼らが出足でつまづけば、他の利益より売上に集中している会社らが上場する可能性は、当分の間小さくなるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

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