HPEがクラウドネイティブのセキュリティを追究するScytaleを買収

HPEが、クラウドネイティブのセキュリティサービスScytaleを買収した。そのサービスは、オープンソースのセキュリティプロトコルSecure Production Identity Framework for Everyone(SPIFFE)をベースにしている。両社は買収の価額を公表していない。

Scytaleは、複数のアプリケーションにまたがってアイデンティティ、すなわち認証とアクセスを管理する。最近では人間が介入しなくても勝手に複数のアプリケーション間で行われるトランザクションが多くなっているので、このようなサービスはますます重要だ。特に重要なのが、情報が他のアプリケーションと共有されてもいいと、当のアプリケーションが認知・許可していることだ。

これはHPEにとっても、今後広げたい分野だ。HPEのフェローでクラウドレスコンピューティングのゼネラルマネージャーであるDave Husak(デイブ・フサック)氏が、買収を発表するブログ記事に「HPEが次の章に進み、弊社独自のエッジツークラウドのPaaSをお届けしていくためには、セキュリティが一貫して重要な役割を担い続ける。ハイブリッドでマルチクラウドな環境で操業している企業ならどこでも、データとアプリケーションのアイデンティティをリアルタイムで動的に識別し認証する、完全に安全でゼロトラストなシステムが必要だ」と書いている。

彼は、HPEがSPIFFEとSPIRE(SPIFFE Runtime Environment)プロジェクトの支持者であり続けることも、書き忘れていない。どちらも、Cloud Native Computing Foundationの傘下にあるシステムだ。

Scytaleの共同創業者Sunil James(サニル・ジェームス)氏も別のブログ記事で「この買収はScytaleのルーツがオープンソースであることをHPEが尊敬していることが鍵だ」と語る。同氏によると「ScytaleのDNAはセキュリティと分散システムとオープンソースだ。HPEにおいてもScytaleはSPIFFEのサポートを継続する。弊社の絶えず成長している、発言力の強いコミュニティが、われわれをリードするだろう。今後も、この透明でベンダーニュートラルなプロジェクトのメンテナンスにしっかりと取り組んでいきたい。そのことは、動的でオープンで安全なエッジツークラウドのプラットホームを提供していくHPEにとっても、同じく重要だ」とのこと。

PitchBookのデータによると、Scytaleは2017年に創業し、これまでに800万ドル(約8億7000万円)を調達している。その中では、昨年3月のBessemerがリードしたシリーズAの500万ドルが大きい。なお、この買収は米国時間2月3日に完了した。

関連記事:Scytale grabs $5M Series A for application-to-application identity management(複数のアプリケーションにまたがってIDを管理できるScytale、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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