Hyzon Motorsが水素燃料電池を用いるトラックの販売を開始

水素を動力とする大型トラックの企業Hyzon Motorsの水曜日(米国時間8/11)の発表によると、同社はブランクチェック企業Decarbonization Plus Acquisition Corp.との合併を機に事業を拡大し、まず手始めに同社の最初のトラックをヨーロッパの顧客に販売する。

水曜日に第二四半期の決算報告を行った同社は、合衆国における最初の顧客の試乗を始める準備もしている。

特殊目的買収ファンドとの合併で上場したそのほかの運輸企業と同様、Hyzonにはまだ語るに足る売上はない。むしろHyzonがあてにしているのは、この取引から得られる巨額の資本注入だ。それは5億ドル以上とも言われていて、また受注の増大による上向きのキャッシュフローも期待している。

現状では同社は当四半期に940万ドルの純損失を計上し、それには350万ドルの研究開発費の支出も含まれている。調整後の利払い前税引前償却前利益(EBITDA)は、マイナス910万ドルである。同社の手中には5億1700万ドルのキャッシュがあり、それは追加の株式を売らなくても2024年までにはフリーキャッシュフローに達するに十分な額だ。第二四半期の決算報告でHyzonのCFO、Mark Gordon氏は、そう語った。

Hyzonは水素燃料電池のパワートレインを製造しているだけでなく、水素燃料を生産するハブにも投資している。それはこの技術の普及のために欠かせないインフラストラクチャのための、主要な部位だ。4月に同社は、最大で100の水素生産ハブを目指して、再利用可能燃料の企業Raven SRとのMOUに署名した。Gordon氏は、その最初の2つがベイエリアだと認めた。

関連記事: Hyzon Motorsは水素燃料電池車への意欲に米国の2つの工場を追加

彼によると、同社は年内に85台の燃料電池車を出荷できるので、次の四半期では初めての売上を計上できる。オーダーと契約のMOUは4月の5500万ドルから8300万ドルに増えているが、ただしMOUの多くは非拘束だ。オーストリアの食料品チェーンMRPEISとのトラック70台の契約も、そんな例の一つだ。また顧客の多くは燃料電池車を初めて見る人たちなので、採用にあたっては技術的なハードルもある。

CEOのCraig Knight氏は、決算報告でこう述べている: 「顧客の多くが燃料電池車に初めて触る人たちであり、それを見るのも今後の半年から1年が初めての経験になる。したがってそれは本格的な技術評価過程になり、顧客が自分たちのユースケースにおいて、車の機能性を快適と感じる必要がある」。

トラックの個々の受注台数は比較的少ないが、Knight氏によると納車から車隊の編成と稼働までの時間は、とくにヨーロッパの場合、短くなっているという。ヨーロッパはすでに、水素の可用性が相当大きいからだ。氏は曰く、「初期には、最初の燃料電池トラックを入手し試乗してから、実用車隊を動かすまで12か月から18か月を要した。しかし今では、もっと短いだろう」。

同社は主に、長距離輸送よりも、毎回基地に戻るタイプの運用を考えている。長距離輸送が一般化するためには、水素燃料を補給する広範なネットワークが必要だからだ。合衆国のロジスティクス企業Total Transport Services Inc.による顧客テストでは一日18-20時間という長時間使用を達成したが、その間の燃料補給はカリフォルニア州ウィルミントンの補給ステーションで1回行っただけだ。そこでKnight氏は曰く、「水素の利用の仕方としても優れているし、しかも国中を走り回って水素ステーションを探す面倒を、顧客に課していない」。

関連記事: Founders must learn how to build and maintain circles of trust with investors(未訳、有料記事)

関連記事: What’s fueling hydrogen tech?(未訳、有料記事)

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Hyzon Motors

[原文へ]

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。