Incubate Camp12th参加のスタートアップ16社を紹介

独立系ベンチャーキャピタル(VC)のインキュベイトファンドは9月13日、14日の2日間、通算12回目となるIncubate Campを開催した。Incubate Campは、シード/アーリーステージ起業家のための1泊2日の合同経営合宿。国内の著名な投資家やVCからのメンタリングが受けられるほか、数千万〜億円単位の投資の機会もある。今回は16社のスタートアップ企業が参加し、それぞれの事業内容や戦略について語った。早速その16社をピッチ順に見ていこう。

なお、審査結果などについては追って追記する。

Gaudily

ブロックチェーン技術を活用して、企業のプロダクトやサービスのファンコミュニティマーケティングを支援するBaaS(Backend as a service)アプリケーション「Gaudiy」を開発。ブロックチェーンをベースにしDapps(分散型アプリケーション)コミニュティは、ユーザーロイヤリティーが非常に高く、ユーザーが社員のようにコミュニティを熱心にサポートする特徴があるとのこと。Gaudiyは、独自トークン、投げ銭、貢献値、チャンネル、企画などの機能を備えるトークンコミュニティープラットフォームで、現在8社でテスト中とのこと。同社はそのほかブロックチェーン技術の研究を、博報堂、毎日新聞、LIXIL、KONAMI、横浜ベースターズ、ブリヂストン、三菱電機、そのほか海外のブロックチェーン企業、大学機関などと研究を進めているそうだ。

ウェルネス

パーソナルドクターを軸としたウェルネス事業を展開。身体が不調を感じる前に予防することを目的とした、医師によるパーソナルトレーニング「Sylt」を提供している。Syltでは、マスター、目的別、スポットの3コースを用意。マスターコースでは、自分の身体・心について体系的に理解を深め、将来の病気に備えるためのヘルスリテラシーを得ることができる。目的別コースでは、ダイエット、人間ドック、遺伝子検査などを深く理解しながらトレーニングを受けられる。スポットコースでは、ガンや糖尿病、子供の健康など、自分が関心のある領域ついて学べる。

HANOWA

フリーランスの歯科衛生士と歯科医院のマッチングプラットフォーム「HANOWA」を運営。現在、全国的に歯科衛生士の数は不足しているが、実は有資格者(国家資格)の約半分以上は潜在労働力として働いていない。これは女性の歯科衛生士が、出産などを機に休職することが多いうえ、子育てと仕事を両立できる歯科医院が少ないという現状がある。HANOWAでは、歯科衛生士のすきま時間をシェアリングし、複数の歯科医院でパラレルキャリアの就労を可能にする。人材のマッチングだけでなく、医科衛生士と歯科医院の相互レビュー機能も備える。

Nature Innovation Group


1日70円で傘を借りられるサービス「アイカサ」を展開。専用アプリは不要で、LINE上でアイカサのアカウントを友だちに追加することですぐに使えるのが特徴だ。アイカサスポットに設置されている施錠状態の傘に張られているQRコードをスマホで読み取ることで解錠・決済が可能。1日ごとに70円が加算されていくが、6日以降からは1カ月間は420円。ゲリラ豪雨など想定外の雨であっても、コンビニで傘を購入するより安価に利用できる。傘の返却は最寄りのアイカサスポットに返却すればいい。決済方法は、クレジットカードのほかLINE Payを選べる。今後は全国の鉄道事業者を交渉を進め、2022年には773駅13万本を目指す。現在、280円の月額サービスも試験導入しており、最終的には家の傘のリプレースも狙う意気込みだ。利用頻度が高いユーザーの行動をスコア化して、クーポンなどの特典配布も検討しているとのこと。

rite

インフルエンサーがさまざまな商品を自由に紹介できるメディアサービス「rite」を運営。Instagramをプラットフォームとして、ファッションやコスメの分野でインフルエンサーが簡単にセレクトショップを始められる。1年間でインフルエンサー100名、流通総額12億円を目指す。商品を提供する企業からの要望ではなく、インフルエンサーが本当にいいと感じた商品を自らが選び、自由に紹介できる環境を目指す。

Genics

くわえるだけで自動での歯磨きを可能にする「次世代型全自動歯ブラシ」を開発。この歯ブラシのマウスピースには複数のブラシが植えられており、小型電動モーターの駆動により歯列に沿ってブラシが上下左右に運動、約30秒で歯垢を除去するという仕組みだ。ブラシが歯の裏側を含むすべての面に当たるように歯列形状に合わせて設計されているので、あらゆる角度から歯を同時に磨くことが可能とのこと。現在は、大学病院や介護施設での実証実験を進めており、2020年2月までに200台の導入を計画。老人ホームやケアセンターなどへ導入し、要介護者や高齢者の歯磨きを短時間で手間なく済ませることを目指す。保険適用できるように医療機器としての申請も進めているとのこと。将来的には一般ユーザーにも広げていく予定だ。

Carstay

車中泊可能なバンのシェアリングサービス「VAN SHARE」、車中泊スポットのシェアリングサービス「Carstay」、ライフスタイルメディア「VANLIFE JAPAN」を運営。VAN SHAREでは、バンを借りる人である「ドライバー」とバンをシェアする「ホルダー」の両方に自動車保険が自動付保される。鍵の受け渡しは対面なので、車体に特別な装置を装着する必要もない。シェアできるバンは、大人1名以上が快適に車中泊できる自動車のみ。もちろん、キャンピングカーなどの特殊用途自動車も登録可能だ。

EPOQ

「OAO」というブランドを運営。ローンチ直前のため、事業内容など非公開。

RABO

海洋生物の生態行動を調査する研究手法であるバイオロギング技術を活用した首輪型の猫用ロギングデバイス「Catlog」を開発。加速度センサーを内蔵しており、猫の動きを24時間記録・解析。歩行や走行はもちろん、睡眠や飲食などの状況もスマホでチェックできるようになる。通常と異なる動きをした場合に緊急アラートを通知する機能もある。ペット保険大手のアニコムと共同研究を進めており、今後は専用保険なども開発していくという。

ロジレス

受注管理システム(OMS)や倉庫管理システム(WMS)など、EC事業で必須の倉庫のバックヤード業務を効率化するサービスを提供。同社が解決するのはEC事業者の経営課題。商品受注や発送、煩雑でコストもかかる在庫管理などのバックヤード業務をロジレスにアウトソージングすることで、人件費や輸送費などを圧縮できる。ロジレスのシステムでは、受注管理、在庫管理、出荷作業などの一連の業務を1つのシステムで管理可能になるのが特徴。商品の自動出荷はもちろん、商材や配送先、配送方法に応じて最適な場所から出荷する「複数拠点出荷」も可能になる。現在、30社以上と倉庫業務で提携しており、今後も提携数を増やしていく計画だ。将来的にはネットショップだけでなく、POS連携などで卸小売業の商品配送などにもサービスを広げていく。

Elaly

取り扱い1万品目のインテリア家具を月額定額で利用できるサービス「airRoom」を運営。利用者は月額500円から借りることができ、もちろん1カ月単位での家具の入れ替えも可能。高い料金のものでも月5000円程度とのこと。プロのインテリアコーディネーターによるコーディネート提案や配送料、返却料、組立、設置なども無料だ。補償サービスも付帯しており、家具に傷をつけても追加料金を支払う必要はない。今後はハイエンドの家具のラインアップも増やしていく。

アグロデザイン・スタジオ

バイオサイエンスを基盤とした安全な農薬開発を目指すスタートアップ。 最近は人気の除草剤が発がん性の疑いで海外で相次いで販売禁止になるなど、農薬の危険性が再注目されている。この一因は従来の農薬の開発手法にある。さまざま組成を繰り返し試して有効なものを製品化という手法が主流で、なぜ効くのかという点が詳しくわからなかったそうだ。同社はゲノム比較によって特定の害虫だけがが持つ酵素を探し出し、人体に影響がない有効な農薬を開発することを目指す。現在、アンモニア酸化細菌の活動を抑制する分子標的型の硝化抑制剤を開発中。安全性が高く環境にやさしい硝化抑制剤を提供することで、持続的農業に貢献することを目指す。

ドクターメイト

365日利用できる介護スタッフ向けオンライン医療相談サービスを提供。介護施設に医師が常駐するケースは少なく1日数時間しかいないことがほとんどで、ケアスタッフだけで対応できない問題をオンラインで医師がサポートする。無料配布されたタブレット端末から写真やテキストを送ることで、医師から即日回答を受けられるのが特徴。症状はそのまま共有可能で、嘱託医とも自動連携する。皮膚科をメインに各種診療科の症状に対応、現在18施設と提携している。今後は在宅医療にも進出していく予定。

Anyflow

メールやメッセンジャーをはじめとする、さまさまなSaaSアカウントを専門知識がなくても作成・連携可能にするサービス「AnyFlow」を開発。Slack、Chatwork、Dropbox、Money Forwardなど国内外のさまざまなSaaSの公開APIを解析。エクセルのマクロがわかるスキルがあれば手軽に作業でき、一度ワークフローを作ってしまえば業務の自動化が可能だ。サービスは10月のリリースを目指している。

Endroll

商業施設向けのARエンターテインメント事業を展開。これまで、iNTERFACE SHIFTカンファレンス実行委員会、東京急行電鉄、アカツキライブエンターテインメントと組んだARソリューションを開発。それぞれ、テックカンファレンス「iNTERFACE SHIFT 2018」内のAR空間に仕掛けられた爆弾を探し出す「会場ノ爆弾ヲ解除セヨ」、渋谷エリア一帯を利用したリアル謎解きゲーム「渋谷パラレルパラドック」、横浜駅直通のエンターテインメントビル「アソビル」の全館を舞台にしたAR周遊ゲーム「アソビルパーティー」などを展開してきた。

TANOsim

CGクリエイター向けの3DCG作品投稿サイト「CGクラウド」を提供中。CGを制作するには最新の技術を要するうえ、VR/ARなどの登場で需要がさらに高まっている。その一方で、仕事の進め方はアナログでCG技術はクローズド。同社は、パーツライブラリを利用してさまざまなキャラクターを作成できる環境の構築や版権ビジネスへの参入など、CG業界に特化したマッチングプラットフォームを目指す。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。