Instacartが事前注文とケータリングソフトウェアのFoodStormを買収

オンデマンド食料品配達プラットフォームのInstacart(インスタカート)は米国時間10月7日、食料品小売業者向けにエンド・ツー・エンドの事前注文とケータリングを提供するSaaS型オーダー・マネジメント・システム(OMS)のFoodStorm(フードストーム)を買収すると発表した。両社は取引条件を明らかにしていないが、買収の一環として、InstacartはFoodStormの技術を自社の一連の企業向け食料品eコマースソリューションに統合する。

FoodStormは、マルチチャネル注文、注文管理、決済、フルフィルメントをカバーするSaaSを開発した。FoodStormの技術は、販売時点情報管理システム(POS)を含む複数のサードパーティのシステムも統合する。また、食料品店がフィードバックを集めたり、プロモーション機能を活用するためのCRM機能も提供している。

「我々の目標は、小売店のパートナーが売上を伸ばし、小売店の顧客の毎日の食事がそうした小売店からのものになるようにすることです。そのため、FoodStormの優秀なチームをInstacartに迎え、FoodStormのエンド・ツー・エンドの事前注文およびケータリングのプラットフォームをInstacartの主要な企業向けプロダクトに統合できることをうれしく思います」と、Instacartの最高技術責任者であるMark Schaaf(マーク・シャーフ)氏は声明で述べた。

14年前に設立されたFoodStormは、Bi-Rite Market、Mollie Stone’s Markets、Uncle Giuseppe’s、Roche Brothersなど、Instacartの既存の小売パートナー数社と提携している。Instacartは、FoodStormの技術をより多くの小売店に提供していく予定だ。

この新しい企業向けソリューションによって、小売業者がより多くの在庫をオンライン化し、顧客のニーズを満たしながらeコマース機能を強化することができるとInstacartは話す。また、顧客にとっても、この技術によってレストランのデリバリーに代わる、より手頃な価格のサービスが可能になるとも指摘する。

「食料品は非常に複雑な小売カテゴリーであり、FoodStormやInstacartのような法人レベルのソリューションは、私たちが食卓を支えるために頼っているこの業界の長期的な成功に不可欠です。Instacartのチームに加わり、小売業者が事業や顧客の絶え間ないニーズに応えるための新しい方法を創造することを楽しみにしています」とFoodStormのCEO、Rob Hill(ロブ・ヒル)氏は声明で述べた。

Instacartは、事前注文技術のソリューションが、食料品小売業者に大きな成長機会を提供すると話す。例えば、調理済み食品やケータリング商品(温・冷のおかず、ケーキ、寿司など)を食料品店で購入するInstacartの顧客は、購入しない顧客に比べて購入量が多く、買い物の頻度も高くなる。また、小売店にとっても、青果やパッケージ商品などの従来の食料品よりも、事前注文した商品や調理済み食品の方が一般的に利益率が高いと説明する。

Instacartは2021年初め、Andreessen Horowitz、Sequoia Capital、D1 Capital Partnersなどの既存投資家から、2億6500万ドル(約297億円)を調達した。この資金調達により、同社の評価額は390億ドル(約4兆3760億円)に達した。また、Instacartは最近、米国とカナダの一部の市場で、より迅速な配達サービス「Priority Delivery」を開始した。これは、少量の買い物やかなり急ぎのニーズのために、これまでは店に駆け込んでいた顧客を引き付けることを目的としている。

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画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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