Instagramがアプリインストールボタン、購入ボタン、ターゲティング、APIの追加で広告事業に本腰を入れる

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Instagramは大金を稼ぐ準備が整ったようだ。一年半に及ぶフォーマットと基本的なターゲティングの検証を経て、 Instagramは広告主に対してより優れたツールの提供を開始する。「Shop Now(今すぐ購入)」「Install Now(今すぐインストール)」と「Sign Up(サインアップ)」のボタンの追加、ユーザーの興味やデモグラフィック別のターゲティング、そして大企業が広告を効率的に管理できるAPIを提供する。

Instagramの広告は、2013年10月のローンチ以来、大手ブランドがユーザーに自社を覚えておいてもらうのに使用するには最適な広告だった。今回の変更により、直接ユーザーに何かしらのアクションや、商品の購入を訴求したいマーケターにとっても便利なものとなる。広告代理店はより多くの資金をInstagramに使うようになることが見込まれる。APIでは、Instagramでフォローする人やFacebookでの「いいね!」などの情報からユーザーの興味に基づくターゲティングが可能となり、この写真ネットワークは、Twitterのインタレストグラフと対抗するようになるだろう。

Shop Now. Kendra Scott Example

Instagramのユーザーにとっては、新しいフォーマットが一番の大きな違いになるだろう。「アクション志向」と呼ばれるこのフォーマットには、ボタンが画像の下に表示される。上のモックアップの画像のように、商品を購入したり、アプリをダウンロードしたり、サービスにサインアップするためのボタンだ。

これは、Instagramが今年の初めに発表したマルチフォトのカルーセル広告の延長線上に作られている。他にも「Learn More(もっと読む)」ボタンもあり、今回の変更で初めて、Instagramの広告はクリックできるようになった

ボタンをクリックしても完全にInstagramから離れないのが特徴だ。代わりにアプリ内で小さなブラウザが開き、ユーザーが購入やダウンロードなどのアクションを終えたらInstagramへと戻る仕組みだ。

Instagramは、これまでもユーザーをアプリ内に留めようとしてきた。TwitterにInstagramの写真が直接表示しないのもその考えがあるからだ。Global Head of BusinessとBrand Developmentを率いるJames Quarlesは彼らの理念でもある、スムーズで直感的に写真をブラウズする体験を壊さないようにしたいと話した。「Instagramは、ウェブの一覧やページの集まりではないので、リンクを集めることに意味はないのです。最も重要なのは、ユーザーが撮った写真です。ユーザーはInstagramの写真をリツイートしたり、友人の写真をInstagramに再度投稿したり、リンクを送ることもありません」とQuarlesは私たちに説明した。「ビジネスに関しては、アプリ内のブラウザを見ることは、とてもライトな体験だと考えています。そしてアプリにも戻ってこれる。シンプルであることに私たちは価値を感じていて、この形式はそれに見合うものです」。

Facebookが検証しているような、Instagramのアプリ内でeコマースの決済ができる機能などは検討していますかと尋ねた所、Quarlesは「アプリ内コマースについての機能は今回はありません」と答えたが、「その分野はとても注意深く見ています。写真からインスピレーションを受けて、決済するまでの障壁をできるだけ減らしたいと考えています」と続けた。

今日発表した機能や新しいフォーマットは、これから徐々に公開される予定だ。今週後半にでもスペインでの検証を始める予定でいる。

Install Now. Class Pass Example

新しいターゲティングに関しても、既存のInstagramの広告とFacebook(Instagramの親会社)のユーザーデータを合わせたものを拡張した形だ。これまでInstagramの広告主は、年齢、性別と国別で広告のターゲットを設定することができた。これから少しずつ、より広範なデモグラフィックやユーザーの興味関心のデータを活用することができるようになる。加えて「情報ビジネスが持つ自社のカスタマーデータ」に基づきターゲットを設定することも可能だという。これは、FacebookのCustom Audiencesの広告に良く似ている。Custom Audiencesは、広告主が既に自社で保有しているメールアドレスに対応する人をターゲットに設定することができる機能だ。

ユーザーが広告を煩わしく不快に感じる場合の対応策として、Facebookは「Instagramのフィードバックシステムを改善し、ユーザーと関連する広告が表示されるようにすると共に、ユーザーが広告をある程度コントロールできるようにする」と伝えている。

Sign Up. Taylor Morris Example

Instagramは、この広告機能を大小関わらず全ての企業に提供できるようにすると伝えた。InstagramとFacebookの広告購入ツールを統合すること、そしてInstagramの広告のAPIのローンチを指している。このAPIでInstagramは広範なソーシャル広告プラットフォームとつながることになる。

大規模な広告を展開する広告主は、大量の広告の変数やターゲットの設定オプションをプログラムでコントロールできるようになり、手作業での管理は減り、自動で最も効率的な組み合わせに最適化されるようになる。InstagramのAPIは、サードパーティーの広告管理ツール市場を賑やかにすることになるかもしれない。特にキャンペーンに用いる画像といったクリエイティブな要素の最適化に焦点が当てられるだろう。

APIの最初のパートナー企業には、4C、Brand Networks、Ampush、Kenshoo、Laundry Service、MediaVest (Publicis)、Nanigans、 Olapic、Resolution Media (OMG)、Salesforce、 SocialCode、Social MoovとUnifiedが含まれている。

何故注目が集まっているのか?「今回の発表で最も重要なのは、FacebookがInstagramの広告をスケールさせる準備が整ったということです。そして、彼らはユーザー志向の広告において、自社のプロダクトやウェブでの成功を元に、スケールのための法則を理解しています」とBuddy Mediaの共同ファウンダーで、現在はSalesforce.comのChief Strategy Officerを務めるMichael Lazerowは話した。

Facebookの最初の広告はAppleが購入したが、彼らは多様なビジネスが使えるツールを開発していった。Instagramも同じ道を辿っている。Quarlesはこのことについて「数百の大きい広告主から裾野を広げ、次の1000社を取り込むのがこの戦略の重要なポイントです」と話した。Instagramの親会社でもそうであったように開発者が利益を導く。モバイルでのアプリインストール広告は先の四半期だけでFacebookに24億ドルをもたらした。Instagramにもそれが登場する。

Lazerowは、「Facebookの広告事業にとって今回の開発は、彼らが2014年10月に公開したモバイルの Audience Networkの開発以来、最も価値があるものになるでしょう」と締めくくった。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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