Instagramのアダム・モセリ氏、 10代のメンタルヘルスについて上院で証言

Instagram(インスタグラム)の責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、子どもや10代の若者のオンラインの安全性に関する一連の公聴会の一環として、初めて上院で証言する。The New York Timesによると、モセリ氏の公聴会は米国時間12月6日に行われる。

モセリ氏の公聴会は、Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンタール)上院議員(民主党)が、Facebook(現Meta)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に手紙を送り、彼かモセリ氏のどちらかが上院の公聴会に参加するよう要請したことに端を発する。

モセリ氏は、上院議会への出席のニュースを受けて動画を投稿した。彼は、10代の若者のオンラインでの安全性に対する懸念が高まっていることを話し、10代の若者のアカウントをデフォルトで非公開にしたり、若者が目にする広告の種類を制限したりするなど、Instagramが若いユーザーを保護するために行ってきた過去の対策を紹介した。

関連記事:Instagramが10代ユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に、広告や望まない大人からの接触を制限

「これらの問題について、比較的近いうちに議会で話すつもりです」とモセリ氏は語った。「これらは重要な問題ですが、私たちは共通の目標を持っています。私たちは皆、若い人たちがオンラインで安全に過ごして欲しいと願っています」。

9月にInstagramが10代の少女に危険な影響を与えていることを知っていたという報道が流れたとき、上院商務科学運輸委員会はそれを重くみた。委員会はまず、Facebookのセキュリティ部門のグローバルヘッドであるAntigone Davis(アンティゴン・デイビス)氏に質問したが、上院からの直接の質問には答えなかった。その数週間後、委員会はFacebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏の証言を聴取した。ハウゲン氏は「Facebook Papers(フェイスブック・ペーパーズ)」として知られる何千もの内部文書を流出させた元シビックインテグリティプロダクトマネージャーだ。ハウゲン氏はこの証言で、Facebookはユーザーの安全よりも利益を重視していると上院に訴えた。

「Facebookが、私や他の議員、一般市民に対して完全に透明性を保とうとせず、若者のメンタルヘルスや依存症に関する重要な情報を隠しているように見えることに失望しています」と、この公聴会を主催する上院委員会の議長を務めるブルメンタール上院議員は書いている。「私が8月の手紙でInstagramと10代の若者に関する具体的な情報を求めたとき、Facebookは、ハウゲン氏が直接反論した明らかに回避的で誤解を招くような回答をした」。

2021年10月、Snap(スナップ)、TikTok(ティックトック)、YouTube(ユーチューブ)の幹部から話を聞いた後、再びInstagramの代表者から話を聞くために委員会は開催される。思春期の摂食障害の発症とInstagramの関連性について委員会が関心を示していることを考えると、モセリ氏は、Instagramが10代の少女に与える影響についてMetaが行いリークされた内部研究について質問されることが予想される。

関連記事:Snap、TikTok、YouTubeの公聴会で、米議員がオンラインで子どもたちを守る新ルールを声高にアピール

The Wall Street Journalが入手し、後にMeta自身が発表したこの内部研究によると、Instagramは10代の女の子の3人に1人のボディイメージの問題を悪化させ、10代の女の子は不安や鬱病の増加をInstagramのせいにしていることがわかった。自殺願望のある10代の若者の間では、6%のユーザーが自殺で死にたいと思ったきっかけをInstagramだとしている。さらに、調査対象となった10代の女の子の32%が、自分の体に悪い印象を受けたとき、Instagramがその気持ちをさらに悪化させたと報告している。

これらの文書が流出した直後、モセリ氏はInstagramがInstagram Kids(インスタグラムキッズ)の構築を一時停止することを発表した。Metaには、13歳未満のユーザーが親の承認した相手とチャットできるMessenger Kids(メッセンジャーキッズ)などの製品がすでにある。

「この体験を開発する必要性を支持しますが、このプロジェクトを一時停止することにしました」とモセリ氏は書いた。「これにより、保護者、専門家、政策立案者、規制当局と協力し、彼らの懸念に耳を傾け、10代の若者のオンライン経験にとってこのプロジェクトの価値と重要性を示すための時間を得ることができます」。

しかし、批評家たちは、Metaが責任を持ってInstagram Kids製品を構築する能力があるかどうかについて懐疑的だ。2021年11月に発表された調査によると、Facebookは広告ターゲティングのために10代の若者を監視し続けていると言われている。

「あなたかアダム・モセリ氏が証言して、記録を整理し、議会のメンバーや親たちに、あなたがどのように子どもたちを守るのかという計画を示すことが緊急かつ必要です」とブルメンタール上院議員はザッカーバーグ氏に書き送った。

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Yuta Kaminishi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。