Instagram上の犯罪容疑者と偽アカウントで友だちになる「犯罪捜査」は合法か?

警官が偽のInstagramアカウントを作成して、誰かと友だちになり、そして流れてくるフィードを調査したり、犯罪の証拠を摘発するようなことは合法だろうか。ニュージャージー州地方裁判所裁判官のWilliam Martiniによると、そのような行為は完全に合法であるとのこと。捜査令状も必要ない。

ArsTechnicaの記事によると、この判断は宝石窃盗団のリーダーであったDaniel Gatsonの裁判で示されたものだ。Gatsonは2013年に、FBIにより逮捕された。その際に、警官側はInstagram上に偽アカウントを作ってGatsonと友だちになり、そこから犯罪の証拠を集めたのだそうだ。

Gatsonはプライバシー設定(投稿は友だちのみが見られるようになっていた)により安全だと判断して、いくつか盗品の写真をアップロードしていたりした。この写真を見るために警官は偽アカウントを作成して友だち申請したのだ。裁判所は、Gastonがその友だち申請を受け入れた以上、そこから得られた情報に基づいてGastonの家宅捜査令状が発行されたことにも全く問題はないと判断している。

Vergeの記事にもあるが、InstagramがFacebookのような実名登録の仕組みを採用していれば話はまた違ったのかもしれない。実名登録が必要なかったので、警察側はGatsonがうっかり友だち承認してしまうような偽のアカウントを簡単に作ることができたわけだ。

こうしてソーシャルメディア上の「プライバシー」の境界は曖昧になり、犯罪捜査や刑事裁判などでも利用されていくことになるわけだ。もちろんこれはソーシャルメディアに限った話ではなく、インターネット時代となって、個人情報の取り扱い方を改めて考えなければならなくなっていることの一環でもある。

アカウント設定をいかにいじったところで、オンラインに公開した情報はプライベートなものではあり得ないのだ。全く用途が異なるはずのTinderを犯罪捜査に使うというような例もでてきている。

GigaOmの記事にもあったが、裁判所の公式ドキュメントはこちらで読むことができる。

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(翻訳:Maeda, H