Instagram上の9枚の写真から“内面”の合う人と繋がるマッチングサービス「nine」

 

2015年末から2016年氏にかけて、約7日間で1500万人がサービスを利用。米国のテレビやウェブメディアが紹介、米国大統領夫人のミシェル・オバマ氏や米大統領選挙候補者のドナルド・トランプ氏にはじまる各著名人も参加——一体何のことかを言っているのかと思うかも知れないが、実はこれ、「2015bestnine」という日本人がリリースしたサービスの話だ。

2015bestnineは、InstagramのユーザーIDを入力すると、そのユーザーがInstagram上に掲載した写真のうち、もっとも「いいね」の付いた写真9つをピックアップして、1枚のコラージュ写真にしてくれるサービスだ。生成した写真はそのままInstagramやTwitterで共有することができる。

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当初はユーザー自身のIDのみに対応していたが、リリース間もなく公開されているInstagramユーザーのIDを自由に利用できるようになった。すると著名人のIDを使って写真が生成され、それが本人の目に触れることでシェアされ…といった具合で、ノンプロモーションながら世界のソーシャルメディアを席巻することになった。

マッチングサービスの提供を目指して起業

2015bestnineを作成したのはマッチングサービスやSNSを手がけるスタートアップのLIP。しかもこれ自体、同社の新サービス「nine」のプロモーションのために生まれたものだった。

LIPは2014年11月の設立。IBMで人工知能を研究していた代表取締役社長の松村有祐氏と、自身で起業してマッチングアプリを開発していた取締役副社長兼プロダクトディレクターの関口舞氏の2人で創業した。

同社はこれまで午後5時以降の利用に限定したサービス「5pm」を2015年6月に米国西海岸をターゲットにローンチ。続けて同年7月には人口知能による審査を通過した大学生・大学院生限定のSNS「Lemon」をローンチした。そして万を持してリリースする3つ目のサービスがnineなのだそうだ。

内面で合う人と繋がるカギはInstagram

「創業時からオンラインマッチングサービスをやりたいと思っていた。5pmは気軽な出会い、LemonはLinkedIn的な自己紹介のサービス。もっと直感的に趣味や内面を理解して、マッチングするにはどうすればいいかとなっていた。マッチングサービスというと顔と年収、肩書きで選ぶものもあるが、それ以外の選択肢もあるのではないか」(関口氏)——そんな中で、Instagramにその答えがあるのではないかと考えた。Instagramにアップするファッションや食べたもの、見た景色……そんな写真の1つ1つで人となりが分かるのではないかと。

nineでは冒頭の2015bestnine同様、ログインすると、ユーザーがInstagramに投稿した写真の中から1年間でもっとも「いいね」が付いた写真9枚を組み合わせて1枚のコラージュ写真を生成する(写真は入れ替え可能)。この写真に、「#fashion」「#pet」「#cooking」といった趣味や性格を表すハッシュタグを付ければプロフィールの完成だ。

プロフィールを作成すれば、今度はマッチングだ。性別や距離などの検索条件にあわせてほかのユーザーのプロフィールが表示されるので、Tinderのように気に入れば右にスワイプ(Like)、気に入らなければ左にスワイプしてプロフィールを閲覧していく。お互いがお気に入りになれば、チャットを通じて会話することができる。写真の内容をフックにして会話を行えば、コミュニケーションのハードルも下がると同社は説明する。「コンセプトには自信がある一方、半信半疑なところもある。だが『いいね』の多い写真のクオリティが高いのは事実。そんな写真を並べることは、自己表現(の手段)としていいものだと思う」(松村氏)

アプリは英語版のみ、フリーミアム形式で提供する。月額9.99ドル(日本では1200円)支払えば、Like数が無制限になるほか、半径50km圏内のユーザーの検索機能、9枚以外の写真の閲覧機能なども提供する。今後はInstagram広告のような画像を中心とした広告の導入も検討する。

今後は海外を中心にマーケティング

2015bestnineを通じて、すでに13万⼈がnineの事前登録を行っている。またそのうち75%が⼥性という、マッチングサービスとしては少し珍しい結果が出ている。年齢層では18~24歳が最多。ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコなど米国の都市や、ジャカルタをはじめとした東南アジアの都市からの登録が多い。

同社ではもちろん日本でもサービスを展開するが、まずは事前登録者の多く、マッチングサービスの利用が盛んな米国からマーケティングを進める。なお2015bestnineについても、「今でも1日数万件のユニークユーザーがいる。今後は2015年のベスト写真以外も生成できるようにしていくことを考えている」(関口氏)

左からLip代表取締役社長の松村有祐氏、取締役副社長兼プロダクトディレクターの関口舞氏

左からLip代表取締役社長の松村有祐氏、取締役副社長兼プロダクトディレクターの関口舞氏

投稿者:

TechCrunch Japan

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