Instapaperの有料バージョンが無料に…買収したPinterestにとって重要なのは新しいユーザーベースの獲得

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8月にPinterestに買収された、個人的ブックマークを簡単に作れるInstapaperは、それまでの有料バージョンが無料になる、と今日(米国時間11/1)発表した。

買収に伴ってInstapaperのチームはPinterestの開発に加わると思われたが、今日の発表によると、彼らのアプリケーションは今後も単独の実体として生き続け、PinterestにおいてInstapaperのチームがアップデートを担当する。今やリソースの豊富な大きな傘の下に入ったInstapaperは、自力で収益化に苦労する必要がなくなった。

そのことはInstapaperにとって、Pinterestの一員となったこと以上のメリットを与えるだろう。前にPinterestに買収されたHighlightやShortsなどと同じく、それまでよりも大きな仕事をしなければならないだけでなく、ビジネスモデルをあまり気にせずにユーザー体験の向上に邁進できる。またPinterestとしては、活かし方の方針が決まるまでは、ロスリーダーとして放置しておける。

Instapaperの買収もPinterestにとっては、同社の三大原則の一つの延伸にすぎない。それは、インターネットの上のいろんなものを“保存する”、という原則だ。Instapaperは、あとで消費したいコンテンツを簡単に記録(“保存”)しておくためのサービスとして、Web上のストーリーを読む体験の、新しい形を持ち込んだ。Pinterestは目下、製品に力を入れており、コンテンツの多くは企業から来る。しかしこれからも同社には、“保存する”の路線をさらに探求し、そのための人材を拾い上げていく意欲もある。

しかもそのような姿勢は、今後のPinterestを大いに助ける。とくにInstapaperの場合は熱心なファンが多く、App Storeのランクを見ても人気は衰えていない。彼らはこれまでのPinterestの一般的ユーザーよりもPinterestに対してフレンドリーで、その自然な声により、さらに新しいアプリが持ち込まれたりするだろう。Pinterestはこれまでも、小さな企業を積極的に買収して、雇用では得られない新しい才能と、新しいユーザーベースの獲得に努めてきた。

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Pinterest自身に新しいユーザーを惹きつける能力があるだけでなく、買収したInstapaperなどに代表される新しいユーザー体験からも、今後の実買ユーザーを増やしていける。10月の発表ではPinterestの月間アクティブユーザー数は1億5000万に達した。それは2015年に立てた目標には及ばないが、売上を得るためには十分すぎるほどの大きなユーザーベースだ。

既存の有料Instapaperのユーザーには、数週間後に払い戻しが行われる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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