Intelがウェアラブル部門の従業員を大量解雇か

HANOVER, GERMANY - MARCH 14:  The Intel logo hangs over the company's stand at the 2016 CeBIT digital technology trade fair on the fair's opening day on March 14, 2016 in Hanover, Germany. The 2016 CeBIT will run from March 14-18.  (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

Intelの内情に詳しい情報源によれば、同社は今にもウェアラブル分野から撤退することを考えているようだ。

2014年、Intelはフィットネス・ウォッチの製造を手掛けるBasisを買収した。当時Basisの名前はあまり知られていなかったが、素晴らしいウェアラブル端末を製造する企業だった。IntelがBasisブランドを同社のNew Digital Group(NDG)の一員に加えたことを考えれば、この買収は大きなパズルの1ピースだったと言えるだろう。NDGは拡大するウェアラブル市場で大きな成果を残すことを目的に、当時設立されたばかりだった。この部門には半導体市場のライバルであるQualcommへの反撃の意味も込められている。

2015年6月、Intelは同じくウェアラブルのReconを買収している。Reconはサイクリングやスノーボード向けのヘッドアップディスプレイを開発する企業だ。Reconの共同創業者であるDan Eisenhardtが買収時に発表したコメントを以下に引用する。

IntelはReconにとって理想的なパートナーです。Brian Krzanichは、彼が2013年にIntel CEOに就任してすぐにウェアラブルに対する明確なコミットメントを打ち出してきました。今年1月に開催されたConsumer Electronics Showでのキーノートでも、彼はこのコミットメントを続けていくと再び断言しています。Brianと彼のチーム、そしてNew Technology Gropを率いるJosh Waldenは、私たちと同じビジョンを持ち、消費者向け、エンタープライズ向けそれぞれのマーケットにおけるスマートメガネのポテンシャルを見出しています。そして、今回の買収はそのビジョンを表したものなのです。

しかし、今年の夏には同社のウェアラブル戦略に亀裂が走ることになる。今年6月、Intel製ウェアラブル端末のBasis Peakに過熱の恐れがあるとして、Intelは同デバイスのリコールを発表した。同社の発表によれば、過熱の恐れがあるデバイスは全体の0.2%程だということだった。Intelはリコールへの対処として、デバイスの取り換えという選択肢を選ばなかった。デバイスの販売を全面的に停止したのだ。さらにIntelは、今年の終わりまでにPeakのソフトウェア・サポートを終了することも発表している(これにはクラウド・ストレージのサポートも含まれる)。

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これは明らかにIntelのウェアラブル戦略の挫折を表していた。結局、IntelがBasisの買収によって達成したことと言えば、Peakよりおしゃれでスーツに似合うTitaniumのリリースくらいだ。

そして現在、Intelの内情に詳しい情報源によれば、同社はこの分野への投資を大幅に削減することを検討中だという。もしくは、この分野から完全に撤退する可能性もある。これにより大勢のNGDのメンバーが解雇されることになる。今年4月にNGDを統合したNew Technologies Groupも同様だ。この件はウェアラブル端末部門に対するIntelの不快感の現れだと考えている者もいる。

すでに何人かの従業員には解雇通告がされており、彼らは今年の終わりまでにIntelを離れる予定だ。各メディアがこの件について報じており、その内容は今のところバラバラだ。しかし、そのすべてがNDGの大型解雇、そして部門の完全閉鎖の可能性を伝えている。

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この方針転換によってNDGのプロダクトが今後陽の目を浴びることもなくなるだろう。そのようなプロダクトには未発表のフィットネス・ウォッチ「Basis Ruby」も含まれる。少なくとも、Basis RubyはPeakの失敗で落ち込むIntelを支えてきたのかもしれない。

私たちはこの件に関してIntelに取材を試みている。彼らからコメントが得られればすぐにお伝えする予定だ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

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TechCrunch Japan

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