Intelの元社長が新しいチップ企業を立ち上げ、クラウド時代の高効率サーバープロセッサーを目指す

元Intelの社長Renee Jamesが作った新しいチップ企業Ampereが今日(米国時間2/5)、ステルス状態を脱して、その最初の製品、ARMベースの高効率なサーバー用チップを発表した。その想定ユーザーは、今日の肥大化したインターネットを支えるハイパースケールなデータセンターだ。

同社のその最初のチップは、カスタムコアのArmv8-A 64-bit serverで、運用速度は最大3.3 GHz、対応メモリー1TB、パワーエンベロープは125ワットだ。まだ価格は発表されていないが、Jamesによると、このチップの価格/性能比は、既存のいかなる高性能コンピューティングチップをも凌ぐ、ということだ。

今すでに、ほかに二つの製品を準備中だが、それらの発表はまだ先だ。

チップ企業を立ち上げるためには、大量のお金と相当なガッツを必要とするが、Intelに28年いたJamesには、この世界のもっとも有能な人材を集められるだけのコネクションがある。また資金的にはプライベート・エクイティ企業のThe Carlyle Groupが支えており、JamesはIntel退社後しばらく同社にいた。今日までの資金量は公表されていないが、なにしろ必要十分な資金は手元にある、という。

Ampereのマイクロプロセッサー。写真提供: Ampere

彼女が新しい企業を始めた動機は、プロセッサーの世界にはまだ誰もやってないことがある、と新たな機会とチャレンジを、一見成熟し飽和しているかのような市場に見抜いていたからだ。“新しい課題に挑戦してそれを実現しなくては、人間として何かをやったとは言えない”、と彼女は語る。

Jamesの目に映っているその新しい機会とは、多くのワークロードがクラウドへ移行するに伴い、これまでに作られたものよりもずっと効率の高い新世代のチップ技術が求められている、という底流的ニーズだ。そこで彼女は、高密度なチップを完全に新規に設計することにより、これまで得られなかった高いコストパフォーマンスと効率を低価格で実現しようとした。

2017年の前半に創業された同社はサンタクララに拠を構え、300〜400名の社員がいる。つまり彼女が言うように、それは“ガレージスタートアップではない”。チップは今、一部の顧客やパートナーたちがサンプリングしており、本格生産は今年後半に始まる。顧客企業の名はまだ明かされないが、パートナーにはMicrosoft, Lenovo, Oracleなどがいる。

そのチップの発表を行う予定だった1月に、Spectre/Meltdownバグが露呈した。Jamesも言うように、投機的実行を用いる現代的なチップは、どれもこのバグを免れることはできないが、しかしARMの被害は最小限であり、同社のチップを今年後半に発売するときにはパッチが組み込まれている、という。

チップの巨人たちに対抗するにはガッツが必要、と彼女も認めるが、しかしチャレンジから逃げる気はない。“画期的で新しいことをやろうとすると、‘そんなこと、どうやってやるんだい?’と言われる。これまでずっと、お前なんかにはできないよ、と言われたことばかり私はやってきた”、と彼女は述べる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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