iOSアプリのサブスクは間もなく最大10種類の割引を提供できるようになる

モバイルアプリ開発者にとって、定期購読(サブスクリプション)がかなりの収入源に成長し続けている。このためここ数週間のAppleは、そのガイドライン、規則、そして定期購読管理のためのツールまでをも見直す必要に迫られていた。Appleは定期購読が消費者に提示される方法に対するより厳しいガイドラインを発行し、既存の定期購読をキャンセルする方法をより簡単なものにした。今回Appleは、開発者のための新しいツールの提供を開始した。このツールは既存の顧客を維持し、退会してしまった定期購読客を取り戻す役にたつものだ。

同社は金曜日に、定期購読を自動更新するアプリがほどなく、顧客ベースを拡大/維持するために、特定の期間、定期購読をディスカウント価格で提供できるようになることを発表した。これにより、開発者はこれまでよりも、定期購読価格を細かく制御することが可能になる。

今回の変更が行われるまでは、開発者は消費者の気を引くために、最初の登録時だけに使える初回特別価格(introductory offer)を提供することしかできなかった。たとえば開発者は、満額の定期購読価格を課金する前に、消費者に1回限りの初回特別価格や無料試用版、あるいは一定期間のディスカウントを提供して気を引くことができたのだ。

しかし、こうした特別価格はいずれも、初めての顧客に対してのみ適用可能だった。だが新しい定期購読方式の提供により、開発者は既存の顧客にも似たようなディスカウントを提供したり、一度は定期購読を行っていたものの、その後キャンセルしてしまった顧客を取り戻したりすることが可能になる。

この新しい販促特別価格では、初回特別価格と同じ種類のディスカウントが可能だが、その使われ方の点で、より柔軟である。

これまでの初回特別価格は、開発者は地域ごとに1つの定期購読に対して1回だけの特別価格を与えることを許可されていた。新しい販促特別価格を使用することで、開発者は1定期購読あたり最大10種類の特別価格をアクティブにすることができる。これにより、どれか1つだけを選ぶのではなく、どの特別価格が顧客にとって一番訴求するのかをテストすることができる。

また開発者は、ある特別価格が、顧客に表示される時期、表示される地域、そして1人の顧客が申し込むことができる回数の上限などを制御することができる。

なお、初回特別価格は指定したときにApp Storeに表示されるが、今回の新しい販促特別価格はApp Store上には表示されない。すなわち開発者はビジネスロジックを用いて、もっとも価値ある顧客を取り戻すために、他の顧客に提示されているものよりも、良い価格を個別にこっそり表示することができるということだ。また、既存の顧客を維持するためのプロモーションとは異なるサービスとして、一度退会してしまった顧客に対しては、よりディスカウントされた定期購読などのお得価格を提供することができる。

開発者はレシート確認ツールを使用して、自動更新をオフにした顧客を見つけることもできるため、現在の定期購読が期限切れになる前に、新しい特別価格を提示することができる。また、一定期間定期購読を行ってからキャンセルした人ではなく、無料の試用期間中にキャンセル人に対象を絞りこむことなどもできる。

今回の変更を受けて、お金を節約したいエンドユーザーとしては、ときどき定期購読をオフにして、再定期購読のために有利な価格が提供されるかどうかをみてもいいかもしれない。

開発者たちは新機能についての予告を先週受けているが、一般への特別価格提供はまだ行われていない。

特別価格提供を行うためには、開発者は最新のXcode 10.2ベータ版をダウンロードする必要があり、新しいStoreKit APIで実装する必要がある。その後、iOS 12.2、macOS 10.14.4、およびtvOS 12.2の最新のベータ版でその特別価格をテストすることが可能だ。Appleは販売特別価格提供機能は「すぐに」一般に開放されると語っている。

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(翻訳:sako)