iPad版Photoshopが被写体だけをAIが自動選択する「被写体を選択」機能を搭載

iPad版のAdobe Photoshopは、デスクトップ版のファンが満足するようなものではなく、幸先のいいスタートではなかった。しかしAdobe(アドビ)はユーザーからのフィードバックを取り入れた機能を追加したアップデートを適宜リリースしているようだ。米国時間12月16日には、iPad版のPhotoshopに「被写体を選択」機能が追加された。この機能があれば、iPad上での写真の操作や合成がこれまでよりもずっと簡単に、そしてフレキシブルにできるようになる。

「被写体を選択」は昨年デスクトップ版に搭載された新機能で、画像を1回タップするだけで被写体を選択できる。手作業で選択する代わりに、アドビのAIエンジンであるAdobe Senseiが被写体を認識する機能だ。被写体の選択は、Photoshopユーザーがペンやフリーハンド、あるいはなげなわツール、自動選択、多角形選択ツールを組み合わせて手作業で行っている作業のひとつだ。どの方法もかなりの手間がかかる。

アドビによれば、2019年バージョンのiPadとデスクトップ版「被写体を選択」では、選択範囲の境界がより正確になり、iOSでもほぼ瞬時に選択されるという。この機能では対象の選択を行い、より正確に選択を調整し、自然な輪郭にするなど、多くの機械学習アルゴリズムが協調して使われている。その結果、極めて実用的なレベルで被写体の切り抜きや構図の変更、被写体と背景を別々に編集するといった作業があっという間にできる。手作業での調整はほとんど必要ない。

輪郭が明確で背景とのコントラストが強ければ正確にきちんと選択されるが、アドビは髪や毛皮などの「被写体を選択」が難しい対象でのパフォーマンス向上に取り組んでいるという。同社はクラウドドキュメントの機能も強化している。これはiPad版Photoshopの一般公開とともに導入されたもので、クラウドベースのストレージを利用してPSDファイルを異なるプラットフォーム間で共有できる。テキスト入力やレイヤー管理などのユーザーインターフェイスも改善している。

iPad版のPhotoshopがデスクトップ版と同様のフラッグシップ製品として認められるためにアドビがやるべきことは多いが、同社は適切な方向に進んでいる。2020年にはさらに多くの改善や向上が提供されるようであり、iPad版のIllustratorもリリースされる予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)