iPhoneが軽くなる iOS 12パブリックベータ配信開始。ミー文字やAR定規、Siriショートカットなど新機能多数

eng-logo-2015アップルが iOS 12 のパブリックベータテストを開始しました。正式版に先立ち問題を見つけるためのベータ版ですが、開発者でなくても誰でもインストールして試せます(※)。

この秋に正式提供予定の iOS 12は、iPhone / iPad の最新システムアップデート。

旧機種でも動作が軽くなるパフォーマンス改善や、32人までのグループFaceTime通話、自分や誰かに似せたカスタム絵文字を作って表情認識で動かせるミー文字、複数人で同じARシーンを同時体験など強化されたARKit 2、複数アプリの操作を Siri にひと言で実行できる Siri ショートカットといった多数の新機能と使い勝手改善が含まれます。

※ パブリックベータは正式版の前に残る問題を洗い出すことが目的のテスト版。日常使っているアプリで不具合が出る可能性もあります。安定運用できないと困るメイン端末に入れるのはおすすめできません。必ずバックアップしてから導入しましょう。

旧機種含むパフォーマンスの改善

新アプリや操作方法から小ネタ改良まで盛りだくさんの iOS 12 ですが、筆頭に挙げられるのはパフォーマンスの改善。特にマルチタスク時など iPhone / iPad が高負荷で重い状況で、これまでよりも動作が機敏に快適になるとされています。

OSアップデートといえば、新機能が加わるかわりに旧機種では重くなることがよくありますが、iOS 12 では、少なくとも特定の改善ポイントでは、iPhone 5s や iPad Airなど、むしろ対応していることが意外な古い機種でも改善がうたわれています。

iPhone 6sでの例は、ロック画面からスワイプでカメラ起動が最大70%早く、キーボードの表示が最大50%早く、重い負荷時のアプリ起動が最大2倍など。

ARKit 2で拡張現実が本格化。標準アプリでもAR

アップルが力を入れるAR、拡張現実もさらに本格化。要はポケモンGOのAR+モードや「はらぺこあおむしAR」のように、iPhone や iPad をかざして画面ごしに見ると、床や地面に仮想のキャラクターが置いてあるように見えるあれです。

iOS 12 の ARKit 2 では、同じARシーンを複数人が共有して、それぞれの視点から見たり、コラボ編集したり対戦ゲームができるようになります。

ARシーンをまるごと保存して、紐付いた場所に「置いておく」 ことができるようになったため(Persistence)、前回散らかした仮想物体が次回も正確にその場所にあったり、時間を超えてARを体験でいます。

ARを使った新アプリMeasure (計測)が追加。カメラごしに見た平面上の距離を測ったり、四角形を計測できます。模様替えや引っ越しに便利そうです。

またOS標準のQuick LookでARオブジェクトを扱えるようになったため、ウェブにそのまま埋め込んだりメールに添付すれば、各アプリから直接開いてARで眺められます。

開発者APIのARKit 2 ではこのほか、3D物体の認識(おもちゃを映すと透視図が、周囲に仮想キャラがetc)、新しいAR向け3DファイルフォーマットUSDZなどが加わっています。

ミー文字やFaceTimeなどコミュニケーションの強化

絵文字が自分の表情を不気味なほどリアルに反映して動くアニ文字には、お化け、コアラ、虎、ティラノサウルスが追加。ウィンクや舌出しも検出してさらにリアルになりました。

新規追加のミー文字は、このアニ文字の顔を自分好みにカスタマイズして作れる機能。ダイバーシティ(多様性)重視を掲げるアップルだけあってか、カスタマイズオプションは多数用意されています。

アバターを作れるアプリなど洪積世から数多ありますが、ミー文字は見慣れたアップル絵文字テイストで自由に作れること、カメラ顔認識で表情をつけられること、FaceTimeで自分の顔のかわりに表示といった使い方ができます。画像や動画として保存すれば、ほかのメッセージアプリに貼って使うことも一応可能です。

FaceTime では、最大32人までのグループビデオまたは音声通話ができるようになります。iPhone / iPad のほか Mac でも、音声のみながら Apple Watch でも参加可能です。

パワーユーザーに便利な新アプリ「ショートカット」、Siri一発実行や提案も

新規アプリのショートカットは、複数のアプリの操作や本体機能を組み合わせて、簡単に呼び出して実行できる機能。例えば外出先から帰宅するときには、経路と交通状況を調べる、何時くらいに帰れそうとメッセージで伝える、スマートホーム家電があれば着いたときに
ちょうど良いようにオンにするなどなど。

こうして作ったショートカットは、Siri にひとこと言うだけで実行できます。

ヘビーユーザーには便利そう、でもそこまで作り込むのが面倒そうな気もしますが、ショートカットアプリにはテンプレートやすぐに使えるアクションが用意されていて、自分用にアレンジから始められます。

またいつも同じような時間帯や曜日に同じような操作を繰り返している場合など、Siri が察して定形動作を肩代わりしてワンタップやひとことにしてくれるなど、自動化アプリと Siri の両方があって使いやすくなる機能です。

たとえば通勤途中のコーヒーショップにアプリ経由で同じメニューを同じカスタマイズで毎朝注文していたら、Siri がルーチン化して、ひとこと指示するだけで操作をしてくれるなど。

アプリ側の対応も必要ですが、複数のアプリを開いたり閉じたり、操作を覚えたり、結果を覚えて別のアプリに貼り付けたり……といったことは、いずれ Siri がかわりにやってくれる未来になりそうです。

スクリーンタイム

スクリーンタイムは、自分のスマホ使用状況を確認して、必要に応じて制限もできる機能。ペアレンタルコントロールの一部として、こどもがどのアプリやウェブサイトをどれくらい使っているか把握したり、時間帯や使用時間で制限するといったこともできます。

そのほか

通知の改良。メッセージなどひと言ごとに並んで埋めてしまう通知はグループ化したり、うるさい通知をアプリ側設定やシステムの設定に潜ることなくその場で止める・管理するなど。通知への対応を Siri が観察して設定を提案してくれます。通知オフでも重要な通知のみ残すオプション設定。

おやすみモード(DND)。 予定表から「この予定が終わるまで」通知オフや、この場所を立ち去るまで、翌朝ロック解除するまでなど。カレンダー上で予め設定が可能。

カメラの改良。ポートレートライティングが強化。サードパーティー向けに写真をレイヤ分けするAPIを提供することで、今後のアプリで活用が期待できます。iPad Pro で RAW写真編集。

写真アプリの検索が大幅強化。イベント名で検索、「日本料理店」などカテゴリーで検索して複数の日時から検索、複数検索ワードでの絞り込み、イベントや参加者を認識して共有提案など。

プライバシー・セキュリティ。 Safari で、ソーシャルボタンなどによる合意のないトラッキングを防止、パスワード使い回しの監視警告、SMSで届くワンタイムセキュリティコードの入力候補サジェスト(覚えて打ち直す必要なし)、iOS や macOS / tvOS とのパスワード共有、強力なパスワードの自動生成と保存など。

iPad にボイスメモアプリ追加

iPadで iPhone X 風のジェスチャ対応(上スワイプだけでホームまで戻る、右上隅からスワイプインでコントロールセンターなど)

iOS 12 パブリックベータは、アップルのペータテストプログラムのページから。Apple ID と端末を登録して、プロファイルをインストールすると、システムのソフトウェア更新に現れるようになります。しつこいようですが、あくまでテスト版なのでアプリが動かなかったり困る可能性があります。問題が出るからこその洗い出しテスト版です。

Engadget 日本版からの転載。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。