Kiipの報奨システムを統合したAny.DO。To-Doアプリに愉しみを実装し、習慣化を企図

To-Doリストが好きだという人は、もちろんAny.DOをご存知のことだろう。この分野中、大いに注目を集めているサービスで、つい先日も350万ドルの資金を調達したばかりだ。さらにサービスの質を向上させていくのに資金を活用していくそうだ。ところでこのAny.DO、さらなる進化を目指してKiipの報奨プラットフォームを組み込んでいる。To-Doを達成すると「ご褒美」を受け取ることができるのだ。

これはAny.DOにとってもKiipにとっても面白い試みだといえよう。Kiipは利用者が何かを達成した際に、広告主からのプレゼントを配布するためのプラットフォームで、多くはゲームで利用されている。To-Doアプリケーションというのは従来と比べて少々変わった世界であり、Kiipの可能性を拡げるものともなる。Any.DO側の狙いについては、同社のファウンダー兼CEOであるOmer Perchikが次のように述べている。すなわち、「ご褒美」の仕組みを組み込むことで、利用者のタスク管理作業に対するモチベーションを上げようとしたのだ(訳注:Kiipの仕組みについてはこちらの記事などもご参照ください)。

Kiipはゲームやフィットネスアプリケーションのみならず、To-Doリストアプリケーションの利用中に生じる「モーメント」(何かを達成した喜びの瞬間)においても利用できる。PerchikはAny.DO自体をゲーム化するのではなく、その「モーメント」をKiipと繋ぐことによってマネタイズをはかり、そして利用者のエンゲージメント向上を狙ったわけだ。

「日常の習慣を形成するにはポジティブな動機付けループが必要になります。この面でKiipは非常に役立つ仕組みを提供してくれるのです」とPerchikは述べている。Kiipをアプリケーションに組み込んで以来、Any.DOの利用者は250万件に及ぶ「ご褒美」を受け取っているのだそうだ。利用者が何かを達成した瞬間に「ご褒美」を提供することにより、利用者の「達成感」とブランドないしプロダクトが結びつくこととなる。広告提供ブランドにとっても、利用者から非常に好意的な反応を引き出すことのできるチャンスとなるわけだ。

「ご褒美」を受け取った利用者が「満足」できるのも良いところだ。受け取った「ご褒美」をツイートする利用者もいる。これについてはよく考えてみて欲しい。利用者が、自分の元に流れてきた広告を、喜びを持ってツイートしているのだ。こういう好感ループがあるので、多くの開発者がマネタイズプラットフォームとしてKiipに注目しているわけだ。バナー広告により、利用者のエクスペリエンスを邪魔するのとは、全く違ったアプローチであると言える。

Kiipはこれまでに1530万ドルの資金を調達している。そして、従来利用されていた「インプレッション数」などにより測定される旧来の広告システムとは異なる仕組みを提供しようとしているのだ。すなわちKiipでは、利用者にどういう行動を促すことができるかという観点から広告を考えている。利用者、開発者、そして広告主のそれぞれの立場を考えつつ、利用者に行動を促すための仕組みを構築しているのだ。

Uberの利用券など、利用者に役立つ「ご褒美」を提供することで、Any.DO側とすれば利用者の習慣を学習する機会を得ることができる。またアプリケーションを使おうとする利用者のモチベーションを高めることにもなる。「広告らしくない広告」の正しい実現方法があるとするなら、Any.DO + Kiipがまさにそこを狙っているのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)