KLabが新CVC、15億円規模のシード特化ファンド組成へ—キャピタルゲイン重視で独立性高い組織に

KLabがSBIインベストメントと組んで2011年にスタートしたコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)のKLab Ventures。インドネシアでオンラインマーケットプレイスを展開するTokopediaや先日米イングリッシュセントラルが買収した英会話サービスのラングリッチなど、これまでシード、アーリーステージの企業を対象に16件の投資を実施してきた。投資先のうち3社は買収によりイグジット。上場の準備を進める投資先もあるという。事業的にはまだまだこれから…という会社もあるようだが、すべての投資先が次のラウンドの調達を実現していると聞く。

KLab Venture Partners代表取締役社長の長野泰和氏

KLab Venture Partners代表取締役社長の長野泰和氏

そんなKLabがスタートアップ投資を加速する。同社は10月21日、ベンチャーキャピタル事業の子会社「KLab Venture Partners 株式会社(KVP)」を設立することを明らかにした。現在KLab Venturesの代表を務める長野泰和氏が代表取締役社長に就任するほか、KLab代表取締役社長 CEOの真田哲弥氏とKLab取締役副社長 COO五十嵐洋介氏が取締役に就任する。

KVPでは12月にも15億円規模のファンドを立ち上げる予定で、今後は国内外のシード、アーリーステージを対象に投資を行う予定。投資領域はFintechやB2B、IoT、C2C、シニア向けサービスなど。

「シード期のスタートアップに対して数百万円〜数千万円前半で投資していくことが中心となるが、シリーズAで数千万円以上の出資も検討する。『冬の時代になる(投資環境が悪化する)』という声も聞くが、この1〜2年でもシリーズA以降を投資の対象にする新しいファンドができている。シードで優秀なスタートアップを支援できれば、次のラウンドに繋げていける」(長野氏)

海外展開では、米国・サンフランシスコに担当を置くほか、フィリピン・マニラへの進出も検討しているという。「KLabグループの投資先であるYOYO Holdingsがフィリピンでもサービスを展開している。インドネシアなどと比較すると見劣りする市場かも知れないが、ホワイトスペースはまだまだ多い」(長野氏)

KVPは外部から出資者を募る予定で、CVCとはいえ高い独立性を持って投資活動を行うという。「真田(KLab代表の真田哲弥氏)からは『好きにやれ』と言われている。求めているのはキャピタルゲイン。シナジーばかりを求めると失敗する」(長野氏)。グリー子会社のグリーベンチャーズなどは以前から非ゲーム領域での投資を行っているし、直近ではアイスタイルがCVCのアイスタイルキャピタルを「iSG インベストメントワークス」と商号変更。独自にファンドを組成して投資を行うと発表している。ひとくくりに「CVC」と言っても、さまざまな方針を持つ組織が生まれているようだ。

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TechCrunch Japan

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