Labrador Systems、高齢者や不自由がある人を助ける支援ロボットの手を2023年までに家庭へ

CES 2020の会場で、Labrador Systemsの共同創業者でCEOのMike Dooley(マイク・ドゥーリー)氏は、「今年は(展示会で)偽物のロボットが少なくなっていると思う」と話していた。ここ数年、CESではロボットを目新しいものとしてではなく、本格的なホームデバイスとして扱い始めている。当時、同社はスイートルームを借りて、後に「Retriever」と呼ばれることになるシステムの初期バージョンを展示していた。

2021年初め、初のバーチャルCESの開催後、同社は一部のユーザーにプロトタイプの配布を始めた。この度の展示会では、その初期テストの成果を、体験談動画という形で見ることができる。Retrieverは、私が2年前に見たものをより洗練させたものだが、基本的には同じ原理で動作する。高齢者や移動に不自由のある人を支援するロボットバーカートのようなものだ。

画像クレジット:Labrador Systems

高齢化が進む日本では、ロボットによる高齢者介護が大きなビジネスになっていることは、この業界を見てきた人なら知っているだろう。しかし、米国ではそれほどでもないようだが、それに続く企業が出始めている。Retrieverは、このように人々を支援するために目的を持ってロボットを製造している米国の企業としては、私がこれまで見た中で最も良い例の1つだ。自立した生活を送れるが、ロボットハンドを追加することで恩恵を受けることができる人々を主な対象としている。

ドゥーリー氏は、ニュースに関連したリリースで「私たちの社会には、十分なサービスを受けていない人がたくさんいます。痛みや他の健康上の問題で、自分自身が動けなくなると、たとえ短い距離でも、自立や生活の質、健康全般に大きな影響を与える可能性があります。Retrieverは、そのギャップの一部を物理的に埋め、個人がより活動的になり、より多くのことを自分で行えるようにすることを目的としています」と述べている。

画像クレジット:Labrador Systems

このシステムは最大25ポンド(約11.3kg)まで運ぶことが可能で、洗濯物や食事といった家の中にある荷物を運ぶのに使用できる。カウンターや棚、同社が提供を予定しているという特注の冷蔵庫などから、カートの上に物を移動できる開閉式のトレイシステムを搭載している。その下には、食品や薬などの収納スペースと、携帯電話を充電するためのポートがある。

本システムはAlexaによる音声コントロールにも対応している。SOSV/HAX、iRobot、全米科学財団とともに、Amazon Alexa Fundが同スタートアップの支援者の1つだ。次のベータテスト期間を経て、Labradorは2023年後半までに、機能に応じてさまざまな価格帯で商用販売を開始する計画だ。アーリーアダプターはRetrieverを1500ドル(約17万4000円)で購入することができ、月額サービス料は資金調達次第で99〜149ドル(約1万1500〜1万7300円)になる。

また、Labrador Systemsは、Alexa FundとiRobot Venturesが共同リードする310万ドル(約3億6000万円)のシードラウンドも発表している。この資金は、エンジニアリングの人員増強と生産の加速に充てられる予定だ。

Alexa FundのPaul Bernard(ポール・バーナード)氏は、このニュースに関連した声明の中で、「Labradorは、高齢で移動に困難を抱える人々に支援を提供することの意味について、最先端の技術を進歩させています。彼らは、私たちの社会における重要な問題に取り組んでおり、消費者向けロボット工学における数十年の経験を生かし、人々がより良い生活を送るための力を与える製品を提供しています」と述べた。

画像クレジット:Labrador Systems

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

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TechCrunch Japan

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